「パクリ」は正当なトレーニングです

以前、大学で教えている学生から
プレゼンテーションに関する
相談を受けました。

日本人学生と留学生の前でプレゼンを行うため
添削してほしいと、
原稿とスライドを送ってきたのです。

そして、
原稿と一緒に送られてきたメールには、
「個人的には、
 このTEDスピーチを参考にしました。
http://digitalcast.jp/v/11077/
かなりパクりました、すいません笑」
と、書いてありました。

模倣や盗作の意味で使われる
いわゆる「パクリ」。
映画や本などで騒動になることも
しばしばですね。

しかし、
「パクリ」は、スピーチやプレゼンにおいては
必ずしも悪いことではありません。

むしろ、ポイントさえ押さえれば
正当なトレーニングとも言えます。
今回は、この「パクリ」をスピーチに活かす
方法についてお伝えします。

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何を真似をするのかを明確にする
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このブログをご覧くださっている方なら
ご存じの方も多いことでしょうが、
「TED」とは
Technology Entertainment Design
頭文字をとったもの。

さまざまな分野の人が自分の考えを
聴衆の前でプレゼンテーションする
イベントを運営しています。

過去には
元米国大統領のビル・クリントン氏や
アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾス氏、
ロックバンドU2のボーカリスト、ボノ氏も
このTEDでプレゼンテーションをしました。

今回、学生が「パクった」というのは、
こんなタイトルのプレゼンです。
「ものは少なく、幸せは多めに」
(グラハム・ヒル氏)

プレゼンターであるグラハム・ヒル氏は
「本当に必要なものだけを持つようにすれば、
 より豊かな人生を送れる」と主張し、
そのための方法について語っています。

このプレゼンのどこが好きで真似をしたのか
学生に聞いたところ、
このような返事がきました。

「漫画や小説などの物語でいう
 『伏線』のようなものを感じたのかも
 しれません」

ヒル氏のプレゼンは、
こんな場面から始まります。

ステージにポツンと置かれた段ボール箱に
腰かけて、

「What’s in the box?」
(この箱の中には何が入っていると思いますか)
と聴衆に問いかけるのです。

この段ボール箱は、彼にとって
「一緒にアパートを渡り歩いている大切な物」
だと言います。

そして、プレゼンテーションの最後にもう一度
「What’s in the box?」
と、最初と同じ質問をします。
しかし、今度は、
「そんなことは大したことではない、
 こんなものはいらない」と語ります。

そのうえで、
「What’s in yours?」
(あなたなら何を入れますか)と
問いかけるのです。

話を聞く前と後では、
同じ質問でもとらえ方が変わってくる。
こうしたプレゼンテーション構成の仕方を
学生は「パクった」ようでした。

ここがポイントです。

上手なプレゼンテーションの
「どのスキルを何のために真似るか」を
明確にする。

そのうえで、
自分のプレゼンにそのスキルを取り入れれば
それは「パクリ」ではなく
「トレーニング」となるのです。

「学ぶ」という言葉は「まねぶ(真似ぶ)」
から来ているとも言われていますね。

また、学びの段階に関する言葉で
「守破離」という言葉も
お聞きになったことがあるでしょう。

最初の「守」では、
師を見習い、教えのとおりに行う。
次の「破」は、その教えを自分なりに
応用してみる。
最後の「離」は、いよいよ師から離れて
独自の道を進む。

主に武道や伝統芸能など
いわゆる「道」の修業において
使われてきた言葉ですが、
スピーチやプレゼンも同じ。

いきなり独自のカラーを出そうとしても、
うまくはいきません。
どんな達人も
まずは真似から始めているのです。

TEDのサイト(https://www.ted.com/
では、さまざまなプレゼンテーション動画を
無料で見ることができます。

まさに「パクリ」の宝庫。
いろいろなプレゼンを見て
ご自分の真似たいスタイルを
ぜひ探してみてくださいね。


★講演やセミナーなど人前で話す講師の方は
矢野も「パクリ」対象にしてみてください(笑)

『ビジネスマンのための信頼を勝ち取る
 コミュニケーションの法則』
https://bit.ly/2PcLFBu

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あとがき
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学会より依頼があり、
心理学分野の論文の査読を担当致しました。

査読(peer review)とは、
「投稿論文などを審査するために読むこと」
で、Wikipediaによりますと、
「研究者仲間や同分野の専門家による
評価や検証」のことです。

peerには、同僚や仲間、同格の人という
意味がありますね。

私は研究者としては新米のため、
査読は初の経験。

いつもは査読結果を首を長くして
待っている側の立場として、
なるべく早くお戻しするつもりでしたが、
投稿論文分野について、背景や先行研究を
調べているうちに時間がかかってしまい、
締め切りギリギリになってしまいました。

いつも自分の論文に対して、
このように査読者の方々が骨を折って
くださっていたのだと思うと、
改めて感謝です。

プロであるPeersが互いに協力し磨き合う。
どんな分野でも一緒なんですね!

★心理学に基づくアカデミックな
 話し方のスキルを学びましょう。
 繰り返し見ることで、学びが定着します。
https://bit.ly/31Eyig6


2019年10月23日