令和最初の年ももうすぐ終わりですね。
おかげさまで今年も
スピーチ・コミュニケーション研究と
コンサルティングで色々な学びのあった
一年でした。
ご縁をいただいた皆様、
ありがとうございました。
そんな中、先日は
社会学者で東京大学名誉教授の
上野千鶴子先生の講演を
聞く機会がありました。
上野先生といえば
今年4月に行われた東京大学入学式の
祝辞が話題となりましたね。
https://bit.ly/2Qn5LrX
こちらの東京大学のHPに
スピーチ全文が公開されています。
社会の中のさまざまな格差や不平等について
ふれたスピーチは、
ソーシャルメディア上で多くの人が言及し、
マスメディアにも取り上げられ、
大きな反響を呼びました。
「感銘を受けた」と称賛する声がある一方で
「入学式という晴れの舞台にふさわしいのか」
と疑問視する声もあり、
賛否両論が巻き起こったのです。
今回は、私が今月拝聴した上野先生の講演で、
さすがだな!と思った
ポイントをシェアします。
皆さんも人前で挨拶などするときに使える
聞き手を引き込むスキルです。
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聞き手を引き込むポイント3つ
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①講演のつかみ
今回の講演は、この一言から始まりました。
「私は今年、これでバズりました」。
スライドは東大入学式で祝辞をなさっている
ご本人の写真。
「バズる」とは、
主にインターネット上で大勢が話題にしている
状態を指す言葉です。
会場から一斉に笑いが起こりました。
みんなが知っていることを
タイムリーに使ったうまい入り方ですね。
ここでは、「バズりました」という
くだけた言い方がポイントです。
東大名誉教授で日本を代表する
フェミニストの講演というと、
真面目な難しい話をされそうで、
構えてしまう感じがしませんか?
しかし、この冒頭の一言で
「この講演は笑っていいんだ」と
聞き手が共通認識を持つことができ、
場づくりの効果があります。
実際、
2時間の講演は絶えず知的な笑いがあり、
あっという間でした。
②誰かに話したくなる新情報
講演では、
この入学式スピーチの後日談も
話していらっしゃいました。
例えば、その一つは、
上野先生の祝辞の影響か、
今年の東京大学のオープンキャンパスには
例年以上に女子学生の参加が多かった
というエピソード。
東大入学式での祝辞が話題になったという
世間で広く知られている話に、
本人から直接話を聞いた会場の人だけが
知ることができる話を加えたのです。
自分だけが知っていることを
他の人にも話したいというのは人間の心理。
実際に私もこうして
皆さんに紹介していますよね(笑)
聞き手を引き込み、さらに
その場にいない人たちも巻き込んで
話題を拡散させるうまい方法です。
③時々入る関西弁
講演中、上野先生は、
関西弁をところどころ
使っていらっしゃいました。
講演全体は標準語で、
社会情勢などデータを説明するときに
「『なんでやねん』と思わず
言いたくなるのですが…」
などと、感情の部分で関西弁を入れるのです。
上野先生は富山県ご出身ですが
大学生活を京都で過ごし、
大学教員としてのキャリアも京都でスタート。
関西弁を
無理して使っているような感じもなく、
自然に聞こえました。
上品さと信頼性を残しつつ、
関西弁の親しみやすさやノリの良さを
うまく取り入れていらっしゃるのは
さすが!の一言でした。
スピーチの内容にもよりますが、
方言を織り交ぜると
話し手のキャラクターが伝わり、
聞き手との距離が近づきます。
本日ご紹介した
上野先生のスピーチ術。
年末に今年の振り返りするときや
年初めの抱負を語るときなどに
ぜひお試しください。
正統派でありながら
肩肘の張らないスピーチとなりますよ。
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2019年12月28日