米大統領選・ハリス氏の勝利スピーチはここが上手い【後編】

今回は前回に引き続き、
米国史上初の女性副大統領として
注目されるカマラ・ハリス氏が、
現地時間11月7日に行った
大統領選勝利スピーチについてお伝えします。

動画はこちら↓


スピーチの日本語訳はこちら↓
https://bit.ly/3q1Jpgk

ハリス氏のスピーチには、
オンライン時代に生きる私たちも
真似できるスキルが数多くあります。

前回のメールでは、
とくにおススメの
5つのポイントの中から、

1.登場シーンは「先に見る」

2.台形バスト・ショットをくずさない

の2つをご紹介しました。
今回はその他3つのポイントについて
お伝えします。

 

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リーダーにふさわしいスピーチとは
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3.定義する
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ハリス氏はスピーチの最初で、
今回の選挙についてこう定義しました。
「私たちの民主主義そのものが
 かかっていた今回の選挙」
「アメリカの精神が
 問われていた今回の選挙」
動画では1分55秒のあたりです。

この「定義する」というスキルについて、
拙著『オンラインでの「伝え方」 
ココが違います!』の中で、
「リーダーの伝え方の8つのポイント」
のうちの1つとして挙げました。

同書では、
今年5月に安倍晋三元首相が行った
緊急事態宣言延長についての記者会見を
ご紹介しました。

この会見の中で、安倍氏は
引き続き緊急事態宣言下となった
5月の1カ月間を、
「出口に向かって真っすぐ進んでいく1カ月」
「守りを固めるための1カ月」
と定義し、国民に理解を求めました。

このように
自分たちの今置かれている状態を
リーダーが定義することで、
聞き手は安心します。
未来に対して道標が作られるからです。

ハリス氏は、今回の大統領選を上記のように
定義したうえで、
「希望、結束、良識、
そして科学を選んでくれました。
そして何より、真実を選んでくれたのです。
皆さんは、ジョー・バイデンを
次期アメリカ大統領として選んでくれたのです」
と意味づけています。

まさに勝利宣言といえる
上手い論理展開ですね。


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4.相手の反応を待つ間&
 アクションファーストの合わせ技
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感動的なスピーチは、
話し手と聞き手の両者で
つくり上げていくものです。

話し手が大事な主張をした後に間をとる。
そこで聞き手から拍手が起きる。
話し手はそれがおさまるまで待つ。
というリズムができ上がると、
一体感が高まります。

このスキルについては、
拙著
『たった一言で人を動かす 最高の話し方』
でもお伝えしました。

同書では、Facebook創業者
マーク・ザッカーバーグ氏が、
ハーバード大学の卒業式で行った
スピーチを例に挙げました。

同じようにハリス氏は、
聞き手がどこで拍手をすればいいか、
間をあけることで明確にしています。

例えば、先ほども挙げた
「皆さんは、
ジョー・バイデンを次期アメリカ大統領として
選んでくれたのです!」
(動画では4分22秒あたりからのセリフ)
のあとの間です。

ハリス氏のこの言葉に、
聴衆は歓声だけでなく
車のクラクションを鳴らすほど
盛り上がります。
その拍手や歓声をどうやっておさめるか。

その方法が、
『オンラインでの「伝え方」 
 ココが違います!』でご紹介している
「アクション・ファースト」です。

アクションを先にすること
(この場合は口を大きくあけてとまる)で、
次の話が始まることが分かり、
聴衆が静まります。

それから、8分20秒あたりの
「(バイデンは)女性を
自分の副大統領に選んだのです!」という
ハリス氏の言葉で沸き起こる歓声のあとに、
「私は初めての女性副大統領に
なるかもしれませんが……」と、
話を展開していく直前も同様です。

この場合は口をあけて、
右手人差し指を上げるというアクションを
言葉より先にすることで聴衆を制しています。

聞き手に拍手などの反応させる間を
しっかりとること。
そして、その起きた反応を制するために
アクションファーストをすること。

この合わせ技により、話し手主導で
スピーチを盛り上げることが可能になります。

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5.「あなた」と呼びかける
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同じ動画の3分52秒あたり
「And then, you voted.」(そして投票しました)
のところをご覧ください。

それまでは全体を見渡し
右に左にアイコンタクトを送っていた
ハリス氏は、
「You」のところで正面をしっかりと見て
画面に向かって笑顔で手を差し出します。

出典:https://www.bbc.com/japanese/video-54861200

強調したいところで、しっかりとカメラ目線で
「あなた」と呼びかけているのです。

これは、
『オンラインでの「伝え方」 
 ココが違います!』でご紹介している
経営者YouTuberとして人気の
「マコなり社長」こと真子就有さんと同じです。

彼も、大事なところで
カメラ目線で「あなた」と
呼びかける手法をとっています。
動画を見ている人は、
「マコなり社長が自分に向けて語りかけている」
と感じ、ファンになるでしょう。

前回も紹介したように
オンライン時代は聞き手が3層にわかれます。

すべての層の聞き手が
「ほかでもない自分に向かって語りかけている」
と感じるためには、
一人に向けて語りかける目線や
言葉遣いが必要です。

いかがですか?
2回にわたってご紹介した

1.登場シーンは「先に見る」
2.台形バスト・ショットをくずさない
3.定義する
4.相手の反応を待つ間&
 アクションファーストの合わせ技
5.「あなた」と呼びかける

という5つのポイント。

米国初の女性副大統領として注目を集める中で
行われたハリス氏のスピーチは、
彼女が次代のリーダーであることを印象付ける
名スピーチでした。

今後ますます増えていく
オンラインとリアルのハイブリッド型スピーチの
お手本でもあります。

あなたも、リーダーとしてスピーチをするときに
今回挙げた5つのポイントを心がけてください。
いち早く取り入れた人が
リーダーとしての評価を高められるのです。

 

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あとがき
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拙著
『オンラインでの「伝え方」 
 ココが違います!』を
下記サイトにてご紹介いただきました
ありがとうございます!

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2020年12月6日