米大統領選・ハリス氏の勝利スピーチはここが上手い【前編】

11月3日(現地時間)、米国では
4年に一度の大統領選挙が行われ、
その行方に世界中が注目しました。

投票の結果、現地時間7日に
民主党のジョー・バイデン氏が
当選確実との報道がなされました。

これを受けて、
次期副大統領に就任するとされる
同党上院議員のカマラ・ハリス氏が
行った勝利スピーチが
称賛を集めています。

あなたも、すでにご覧になりましたか?
スピーチ動画はこちら

新型コロナウイルス感染症の影響により
ドライブイン形式で行われた演説会場には
大勢の支持者が集まり、
彼女のスピーチに耳を傾けました。

米国史上初の女性副大統領として
注目されるハリス氏。

インターネット上では、
「力強い言葉に感動した」
「彼女が初の女性大統領になるだろう」
といった声が飛び交いました。

今回は、
このハリス氏のスピーチうまいポイント5つ
について、矢野の視点で
2回にわけて解説します。

なお、日本語訳は
こちらのNHKのサイトを引用しました。
https://bit.ly/3q1Jpgk


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オンライン時代の聞き手は3層に分かれる
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まず、前提として
ハリス氏のスピーチのうまさは、
これからのオンライン時代に
対応した伝え方をしているという点です。

具体的には、
「3層の聞き手を意識した伝え方」です。
聞き手が3つカテゴリーに分かれるのが
オンライン時代の特徴だからです。

オンラインが始まったばかりの頃に
行われたイベントでは、
無観客で行う形式も多くありました。
しかし、それでは話し手は話しにくいもの。

そのため現在はハイブリッド型、
つまりリアルとオンライン両方を同時に使う
主催者が増えています。

たとえば
目の前で聞くのは(リアル)
厳選された10人程度で、
その他の100人はオンラインで
聞いているという形式です。

このハイブリッド型では
聞き手が3層に分かれます。

今回のハリス氏の演説で
3層について説明すると、

0層:
肉眼で話し手を見たり、
触れられる距離で話を聞いたりする人。
従来のイベントでは、この0層が多かった。
⇒今回のハリス氏のスピーチでは、0人。

1層:
現場にいるが、画面を通して話し手を見ている人。
⇒今回のハリス氏のスピーチでは、
離れて車で聞いている大勢の人々

2層:
リアルタイムで見ているが、
画面で話し手を見ている人々。
⇒今回のハリス氏のスピーチでは、
自宅でテレビやネットの中継を
リアルタイムで見ている大勢の人々。

3層:後日録画を見ている世界中の人々。
⇒今回のハリス氏のスピーチでは、
こうして後日、
日本で録画を見ている私たちなど。

同じように
私たちのビジネスでも、
以前はリアルで開催していた
会議やセミナーなどにオンラインが
取り入れられると、
この3層の相手に話すことが増えてきます。

この「3層の聞き手を意識した伝え方」を
したいときに効果的なスキルが
次に説明する5つです。
ぜひ、あたなもできそうなものから
真似してみてください。

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1.登場シーンは「先に見る」
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まず注目したいのは、登場シーン。

ステージに登場したハリス氏は
すぐには演台に向かいません。
ゆっくりと手を振りながら演台の前を歩いて、
反対側から回って演台に立ちました。

その後、聴衆を見渡しながら
「ありがとうございます」を
何度も繰り返します。

これは、拙著『NHK式+心理学
一分で一生の信頼を勝ち取る法』

で「話す前に成功を取り付ける秘策」として
紹介しているスキルです。

大勢を前に話すのは、誰でも緊張するもの。
それを和らげる方法が、
この話しだす前に、
まず聴衆を見るというスキルです。

そして、
聴衆としっかりアイコンタクトをとりながら
相手を「見る」ために有効なのが、
頭の中に疑問を持つという方法です。

たとえば、聴衆の前に立つ前に
「右奥の人はどんな服を着ているんだろう」
「一番後ろは男性かな女性かな」
などまず疑問を浮かべるのです。

そして、
答えを探しながら人前に出る。
そうすることで、ただ「見る」だけでなく
答えを探しているため目力が強くなります。

よって、聞き手に
「堂々としている」「自信がありそう」
という印象を与えることができます。

このハリス氏のスピーチをご覧になった
あなたも、そのような印象を持ったのでは
ないでしょうか。

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2.「台形バスト・ショット」をくずさない
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次に、
演台についてからの
ハリス氏の姿勢に注目しましょう。

彼女はおよそ10分間のスピーチ中
「台形バスト・ショット」の姿勢を
くずしません。

「台形バスト・ショット」とは、
肘を軽く張り、身体を台形に見せる姿勢です。

これは、拙著
『オンラインでの「伝え方」 
 ココが違います!』

で、ご紹介した
オンラインでおすすめの映り方でもあります。

この「台形バスト・ショット」を基本とし、
そして、強調したいところだけ
ジェスチャーをつけます。

これは同書でも紹介した
経営者YouTuberとして人気の
「マコなり社長」こと真子就有さんと
同じ手法です。

今回のハリス氏のスピーチでは、
動画の2分03秒~手が動いている箇所。

日本語訳では
「私たちの民主主義そのものがかかっていた
今回の選挙。
アメリカの精神が問われていた今回の選挙。
世界中が見守る中、皆さんはアメリカに
新たな未来をもたらしてくれました。」
のところです。

ここで手が動いています。

そして、手を動かすジェスチャーをした後は
基本の「台形バスト・ショット」の姿勢に
戻ります。
この「戻る」ということがとても大事です。

別のシーンをみてみましょう。
このスピーチを象徴する名フレーズとして
よく引用されている
「私は初めての女性副大統領に
なるかもしれませんが、
決して最後ではありません」の決めフレーズ。
(動画では8分33秒あたりから)

私はこのシーンをみながら
孔雀が大きく羽を広げる場面を想像しました!

なぜならハリス氏は
「最後ではありません」と言いながら、
腕を綺麗に台形に広げるジェスチャーを
していたからです。

 

このように安定した台形の姿勢をとることで、
言葉だけでなく
非言語でも力強さと自信を表現しているのです。
それはあたかも
羽を広げる孔雀のようではありませんか?

出典:https://www.bbc.com/japanese/video-54861200

あなたもぜひスピーチにおいて
孔雀のシーンを作ってください。

「ここぞ」という印象に残したい
フレーズを言いながら、
腕を台形に広げるのです。
そのフレーズが聞き手にインパクトをもって
記憶に残ります。

いかがですか?
登場シーンは「先に見る」
と、
「台形バスト・ショット」をくずさない

スキルを知ったうえで再度動画を見ると
また違った視点で見えますよ。

残り3つのポイントは
後編として次回お伝えしますね。

★時代の転換点に必要なのは
 リーダーとしてのスピーチ力。
 世界のトップリーダーの伝え方から
 学びましょう

『有事をチャンスに変える
 リーダーズスピーチ』
https://bit.ly/3fL2UFs


2020年11月30日


オンラインで「こけし」になっていませんか?

10月23日(金)に発売となりました
拙著新刊『オンラインでの「伝え方」 
 ココが違います!』


Amazonページはこちら↓↓
https://amzn.to/3nENw0J

おかげさまで、
Amazonでは一時在庫切れとなるほど
大きな反響をいただいております。
ありがとうございます。

しかし、先日
「あぁ、本書を出すのが遅かった…」
と感じる残念なニュースがありました。

こちらの日本経済新聞の記事をご覧ください。
https://s.nikkei.com/3kt0XyZ

この記者会見で3人が並んだ写真を見て、
どう感じますか?

出典:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65411600T21C20A0MM8000/


Twitterでは、こんなコメントがついていました。
「遺影かと」。
残念ながら、当然とも言える反応です。

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「こけし」ではなく「台形」で
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このニュースは、業界最大手の企業が、
初めて社外から外国人の経営トップを招く
にあたり記者会見をしたという内容を
伝えています。

今回は、オンラインとリアルを同時に使う
ハイブリッド形式での記者会見でした。

このような
オンラインとリアルの両方を使う形式は、
現在、講演会やセミナー、学会などで
多くみられるようになりました。
今後ますます増えていくでしょう。

今回問題にしたいのは、
会見の内容ではありません。
オンラインで会見に参加した
次期社長の映り方です。

画面の上部に空間があきすぎ、
肩下までしか映っていません。
これでは「こけし」の状態。
木製の人形玩具の「こけし」です。

オンラインで「こけし」で映ると、
自信がなさそうに見えてしまいます。
せっかくいい発言をしても
その良さは伝わりません。

オンラインでの映り方は、
「台形バストショット」が正解。

画面の上部を程よくあけ、
肘を張って台形になるように映るのです。
こうすることで、
相手から見て自信を持っている人に伝わります。
(詳しくは拙著でイラスト付きで解説
 しています。参考になさってください。)

今回はさらに、両端のお二人は立ち、
次期社長は座って「こけし」という
目線の高さの違いもマイナスポイントでした。

こうした「オンラインでの伝え方」の新常識。
早く広めなければ、
従来得ていた信頼までも失いかねない。
今、私は、そんな危惧を抱いています。

時代はオンラインにシフトしている最中です。
まず、あなたからオンラインの「新常識」を
少しずつ試してみてください。

「新常識」を取り入れてコミュニケーションを
とる人が過半数を超えたとき、
時代が完全に変わるのです。

このブログをお読みいただいているあなたは、
時代の変化にいち早く気づいた人です。
周りの人たちより先に
オンライン特有のコミュニケーションを
自分のものにすると、活躍の場が広がります。

ぜひイノベーターとして
世界をリードしてください。


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 話し方のスキルを学びましょう。
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2020年11月2日