NHK大河ドラマ北条政子の名演説シーンで判明!令和版リーダーの伝え方とは?

2022年もあとわずか。
1年の締めくくりであるこの時期、
あなたも仕事納め等で忙しい毎日を
送られていることでしょう。

1年の締めくくりと言えば、
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』も
12月18日に最終回が放映されました。


出典:https://www.nhk.jp/g/drama/

平安末期から鎌倉前期を舞台に、
48回にわたって放映されたこのドラマ。
最終回の前週第47回目
「ある朝敵、ある演説」では、
あの歴史的な名演説が再現されました。

しかも三谷幸喜さんの脚本によって、
令和の時代にふさわしいリーダー像として
描かれていました。
SNS上でも「号泣した」「言葉にならない」
といった称賛の声が相次いでいます。

今回は、
この歴史的な名演説について、
そして三谷さんの脚本からみえた
令和版リーダーの伝え方について
お伝えします。

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恩を思い出させ、高揚感を高める
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今回取り上げる名演説とは、
後鳥羽上皇を中心とする朝廷と
北条義時を中心とする鎌倉幕府の
対立によって起こった「承久の乱」を前に、
北条政子が行った演説です。

『鎌倉殿の13人』では、
小池栄子さんが政子役を演じていました。


出典:https://www.nhk.or.jp/kamakura13/

歴史書では、
「頼朝の恩は山よりも高く、海よりも深い
恩に報いる思いが浅いはずはなかろう」
と語り、朝廷側の挙兵により動揺する
御家人たちの忠誠心を強めたと
伝えられています。

拙著最新刊
『最強リーダーの「話す力」』
https://bit.ly/3EwEJYe
でも、
この北条政子の演説を取り上げました。


第3章「高揚感を高めるメソッド」の
2番目にあげたメソッドです。
聞き手の眠っている感情を刺激し、
思い出させることで、高揚感を高めます。

そして、思い出させる内容として
有効なものの一つが、
北条政子が語ったような「恩」です。

ビジネスシーンでの例文を挙げるなら、

「当社の礎を築いてくださった
先輩方に恥ずかしくないのか」

「あなたをこのプロジェクトのメンバーに
推薦したAさんは、あなたの今の
勤務態度を見てどう思うだろうか」

などです。

こうした伝え方は、
説得を目的とした話法において
「情緒的説得」と呼ばれているものです。

詳しくは拙著を参考になさってください。

さて、
小池栄子さん×三谷幸喜さんの北条政子は、
「自分の言葉で語る」がキーワードでした。

まず、政子は用意された原稿を見ながら
御家人たちに語りかけます。

これは、
本書の第4章「信頼感を与える」でも
取り上げた「原稿をわざと見る」という
テクニックです。

あえて原稿を見ることで、
重要なことをしっかりと確認しながら
伝えているという印象を与えます。

しかし、
「恩は山よりも高く、海よりも…」と
名フレーズを言ったところで
政子は側近が書いた原稿を置き、
真実や自らの思いを語り始めるのです。

これは
本書第6章「器の大きさを見せる」で
ご紹介した「予想外のまさか!をつくる」
テクニックです。

このシーン、
演説を聞いていた御家人たちも
そして視聴者も、
まさか!と思ったことでしょう。

誰も予想していなかったことを行うことで、
リーダーとしての器の大きさを
見せるとともに、一体感を高めるのです。

そして、
チームを団結させるために政子が語ったのは
「上から目線の言葉」ではなく、
「皆さんへの問いかけ」。

御家人たちに向かって
「ここで皆さんに聞きたい。
あなた方は本当にそれでよいのですか」
と、疑問を投げかけます。

これは、
本書第2章「注目を集める」で取り上げた
「レトリカル・クエスチョン」です。

疑問形にすることで、
聞き手が主体的に考えをめぐらせるよう
働きかけるテクニックです。

そのうえで、
「馬鹿にするな。
そんな卑怯者はこの坂東には一人もいない。
そのことを上皇様に教えてやりましょう」
という巻き込みの言葉で相手を動かします。

これは
本書第4章「信頼感を与える」で
ご紹介している「PREP・LP法」の最後、
LPの部分です。

ビジネスパーソン向けの話し方の
テクニックとして良く知られている
PREP法というものがあります。

Point(結論)
Reason(理由)
Example(例)
Point(結論繰り返し)

しかし、これだけでは
人を動かすリーダーの話し方としては
不十分です。

Point(結論)
Reason(理由)
Example(例)
Passion(情熱)
Let’s(~しましょう)
Please(~してください)

これが私がリーダーの話し方として
おすすめする「PREP・LP法」です。
政子は、演説の最後で
このLet’s Pleaseを用いて
御家人たちを動かしたのです。

ちなみに、
同じ時代を題材にした大河ドラマが
過去にもありました。 
1979年に放映された「草燃える」です。

https://bit.ly/3Wiq7TW

こちらでは、
岩下志麻さんが政子役を演じました。


出典:https://www2.nhk.or.jp/archives/jinbutsu/

岩下版の北条政子は、
「上から目線の言葉」で言い切っています。
凛としたリーダー像は
1970年代にぴったりです

今回の小池版の北条政子は、
三谷さんが考える現代のリーダー像が
表現されているように受け取りました。

令和の現代は、
上からの命令では人は動かない。
だから、今の時代を象徴する伝え方ですね。

この「ある朝敵、ある演説」の放送回を
見逃したという方は、
NHKオンデマンドで視聴できます。
ぜひご覧になってください。

https://bit.ly/3W6MXO1


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あとがき
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拙著『最強リーダーの「話す力」』を
読んだ後にスピーチコンサルティングを
受けてくださったある企業CFOの方から、
今年の締めくくりに、
こんなご挨拶をいただきました。

ご本人から許可をいただきましたので、
ご紹介します。

「いままで様々なトレーニングを
受講しましたが、
このトレーニングが最も気付きが多く、
実践的であり、
私の今後の成長に不可欠です。

一般論ではなくて私に当てはめた
アドバイスをいただけることは
本当に貴重です。
アドバイスをいただいた後、
先生の著書を読みなおすと
理解度も深まります。

話し方を向上させるために始めたものの、
単なる話し方のテクニックだけでは
人を動かすことができないことを
痛感致しました。

さらに、一回読んだだけ、聞いただけでは
決して身につかない事も実感しました。
意識的に続けることが成長の源です」

ご感想ありがとうございます。

この方の言葉にあるように
スピーチや話し方のスキルは、
1回書籍を読んだだけ、話を聞いただけでは
身につかないものです。
なによりも実践が大事。

ぜひあなたも年末年始の間に、
来年はどんな話し方をするのか
「表現マネジメント」に
取り組んでみましょう。

表現マネジメントのやり方については
『最強リーダーの「話す力」』
でご紹介しています。

2023年に向けて
自分らしいリーダー像を追求してください。

今回が2023年最後のブログとなります。
いつもご覧くださり
ありがとうございます。

今年も1年お世話になりました。
どうぞよいお年をお迎えください。

 

★世界の最強リーダーのスピーチを分析。
人を動かす話し方を動画で学ぶなら

『有事をチャンスに変える
 リーダーズスピーチ』

https://bit.ly/3VnW8su


2022年12月26日