表現・印象にまつわるアレコレ

オバマ前大統領が8年間やり続けたスピーチテクニックとは?【後編】


前回に引き続き、
バラク・オバマ前米国大統領の
スピーチテクニックに関する、
Fさんからのご質問について
共有させていただきます。

今回Fさんはこちらの記事を見て
質問をくださいました。

http://front-row.jp/_ct/17085557
『夫人が告白
「オバマ前大統領は8年間同じスーツを
着ていたのに気づかれなかった」』

同じ服装を続けるのは、
自分という人間を周囲に認識してもらうための
「非言語表現」としての戦略です。

しかし、周囲に気づかれなかったのであれば、
効果がないのでは?
というのが、Fさんの疑問でした。

そもそも、
オバマ氏は8年もの長い間同じタキシードを
着ていたにもかかわらず、
なぜ周囲の人に気づかれなかったのでしょうか。

それは、
黒のタキシードだったからです。
そのため「フック」になりませんでした。


出典:http://www.huffingtonpost.jp/
(http://www.huffingtonpost.jp/2017/06/08/
barack-obama-tux_n_16996294.html)

もし、オバマ氏が8年間着続けたのが
白のタキシードや柄物のネクタイだったとしたら、
それは「フック」となるため
周囲は気づいていたことでしょう。

「フック」とは、
何かを伝えるときに
聞き手を引きつけるための
表現上の仕掛けです。

黒のタキシードは
パーティーのときの服装として
安定感があり一般的です。
普通すぎて「フック」にならなかったため、
周囲に気づいてもらえなかったのです。

つまり
同じ服を着るという
非言語表現のテクニックを使うときには
「フック」をいかに作るかがポイントになります。

あまり奇抜な服装をしすぎると、
「変わった格好をしているなぁ」と
本来伝えたい内容ではなく
洋服の方ばかりに注目されてしまいます。

これでは「ノイズ」です。
しかし、ノイズを排除するあまり
場になじみ過ぎては、
せっかくの意図的な非言語表現も印象に残らず
「フック」としての効果がありません。

「フック」の役割を担うのは洋服だけではありません。
ネクタイやアクセサリー、腕時計、カフスといった小物。
こうしたアイテムにも自己主張するものを取り入れると、
「フック」にすることができます。

さて、周囲に気づかれなかったのであれば、
効果がないのでは?
というFさんの質問に戻りましょう。

「フック」という意味では、
残念ながらFさんのおっしゃるとおり
効果がなかったのかもしれません。
しかし別の効果があったかもしれません。

例えば、
オバマ氏と同様に
同じ服を着つづけた著名人と言えば、
元アップル社のCEO
 故スティーブ・ジョブズ氏や、
FacebookのCEO
マーク・ザッカーバーグ氏がいます。


出典:https://www.forbes.com/
(https://www.forbes.com/sites/jacquelynsmith/2012/10/05/
steve-jobs-always-dressed-exactly-the-same-heres-who-else-does/#6db293115f53)


出典:https://www.facebook.com/
(https://www.facebook.com/qawithmark/photos/
rpp.823440467713730/838237052900738/?type=3&theater)

同じ服を着続ける理由について、
2014年にザッカーバーグ氏本人が
Facebookユーザーからの質問に答えるかたちで、
次のように話しています。

「『できるだけ決断の数を少なくしたい。
朝食に何を食べるかとか、
どんな服を着るかとかいう小さい決断は、
エネルギーを消費する』と述べた。
ザッカーバーグ氏は、
Apple創業者のスティーブ・ジョブズ氏や
オバマ大統領をあげ、
彼らも衣装を選ぶ際には
同様の理論を持っていると指摘した。」
(出典:http://www.huffingtonpost.jp/2014/11/06/facebook-ceo-why-mark-zuckerberg-wears-the-same-t-shirt-every-day_n_6118592.html

もしかしたらオバマ氏は
相手に伝えるための非言語表現という視点ではなく、
ザッカーバーグ氏と同じように
仕事上での大きな決断をするために
小さな決断の回数を減らす

という意図で、
同じタキシードを着ていたのかもしれません。

そういう意味であれば、
オバマ氏の戦略は成功だったのではないでしょうか。

Fさん、ご質問ありがとうございました。

いつも同じ服を着るにしても、
単に服を持っていない人に見えるか、
それとも
「フック」にしている、
決断の数を減らしているなど、
何かのこだわりを持って
同じ服を着ている人に見えるか、

そこには大きな違いがあります。

ぜひ
私たちは後者に見えるように工夫をしたいですね。

オバマ前大統領が8年間やり続けたスピーチテクニックとは?【前編】


先日、
いつもブログをご覧くださっている
Fさんから、ある質問をいただきました。
スピーチの名手と言われている
前米国大統領のバラク・オバマ氏が
行っていたスピーチテクニックについてです。

とても興味深い話題でしたので、
今回はFさんにご許可をいただき
皆様にもご紹介させていただきますね。

Fさんが今回疑問を持ったきっかけは、
こちらの記事です。
まずはこちらの記事をお読みください。

http://front-row.jp/_ct/17085557

いかがでしたか?

『夫人が告白
「オバマ前大統領は8年間同じスーツを
着ていたのに気づかれなかった」』
というこの記事。

オバマ前大統領が、
在任中、フォーマルな場に出る時は
いつも同じタキシードスーツを着ていたこと、
さらに、そのことに誰も気づかなかったことを
夫人のミシェル・オバマ氏が明かしています。


出典:http://www.huffingtonpost.jp/
(http://www.huffingtonpost.jp/2017/06/08/barack-obama-tux_n_16996294.html)

この記事で、
彼女は、性別によって周囲に注目される点が
違うことに対する問題提起をしていますが、
今回Fさんは記事の内容ではなく、

「いつも同じ服を着続けることの効果」
という点で疑問を持ち、
こんな質問をしてくれました。

Q:
服装を変えないというのは、
矢野さんが言っている「非言語表現」
だと思うのですが、
気づかれなかったのであれば効果がないですよね?

A:
おっしゃるとおり、
服装を変えないというオバマ前大統領の作戦は
非言語表現の工夫です。

私は、これまで
『その話し方では軽すぎます!』などの拙著で
同じ服を着続ける重要性をお伝えしてきました。

その理由は、
「いつも同じ自分」を作ることで、
あなたという人物の印象が
相手の心にインプットされやすくなるからです。

ビジネスシーンにおいて、
自己演出とは他人のために行うもの。
洋服は自分のためだけに着るのではなく、
他人があなたという人間を認識するために
着るものなのです。

オバマ前大統領は、
非言語表現のスピーチテクニックとして
8年間同じタキシードを着続けたと言えるでしょう。

今回は
周囲に気づかれなかったということで、
果たして非言語表現としての効果はあったのか?
という問題です。

あなたはどう思いますか?

そもそも
なぜオバマ氏は
8年もの長い間同じタキシードを
着ていたにもかかわらず、
周囲の人に気づかれなかったのでしょうか。

ぜひその理由を考えてみてください。
答えは次回お伝えしますね。