「クローズアップ現代」最終回、国谷キャスターの挨拶全文を分析

NHKの報道番組「クローズアップ現代」が
2016年3月17日、最終回を迎えました。

kuniya
出典:NHK「クローズアップ現代」HP(http://www.nhk.or.jp/gendai/aisatsu/index.html)

1993年4月の放送開始から
23年間メインキャスターを務めてきた
国谷裕子キャスター。

私はNHKでキャスターを務めていたとき
国谷キャスターの研修を受けました。
それ以来、憧れの先輩の1人として
追いかけてきました。

その後、
心理学をベースにしたスピーチ研究を始めてからは、
国谷キャスターの番組での話し方を解析し
正統派スピーチの研究材料として
分析してまいりました。

番組最終回のエンディングでの
視聴者に向けた国谷キャスターの挨拶。
最後まで完璧な「NHK式」の
信頼性の高い話し方でした。

どこが完璧な「NHK式」なのか?
なんといっても話す速さです。

「NHK式」では1分300文字で話すのが
相手に一番伝わりやすい理想の速度です。

拙著『一分で一生の信頼を勝ち取る法』では
「クローズアップ現代」と国谷キャスターを例に出して
この番組に信頼感がある理由を解説しています。

今回の国谷キャスターの挨拶は、
1分13秒の長さでした。
文字にすると335文字。

1分300文字。
この速度がいつも同じだからこそ、
「クローズアップ現代」の空気感が
信頼感で一定しているのです。

(詳しくは拙著
『一分で一生の信頼を勝ち取る法』
http://www.amazon.co.jp/dp/4478027803)

最後まで「NHK式」の話し方を崩さない
国谷キャスターの凛とした姿に、
思わず涙がこみ上げてきた私です。

YouTubeにもいくつか動画があります。
皆さんもぜひ検索してみて、ぜひご覧ください。

以下、挨拶全文を引用しながら、
話す速さ以外の信頼性の高い話し方のポイントについて
敬意をこめて分析していきます。

出典:NHK「クローズアップ現代」HP(http://www.nhk.or.jp/gendai/aisatsu/index.html)

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23年間担当してきましたこの番組も
今夜の出演が最後になりました。
この間、視聴者の皆様方からお叱りや戒めも含め、
大変多くの励ましをいただきました。

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挨拶の冒頭部分です。

下半身が安定し、
ジェスチャーがなく
落ち着きある話し方。
変わりに
前後への体重移動でリズム感を出すことにより
平坦な話し方を避けています。

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クローズアップ現代が始まった
平成5年からの月日を振り返ってみますと、
国内、海外の変化の「底」に流れているものや、
静かに吹き始めている「風」を捉えようと日々もがき、
複雑化し見えにくくなっている「現代」に
少しでも迫ることができればとの思いで
番組に携わってきました。

23年が終わった今、そのことを、
どこまで視聴者の皆様方に伝えることができたのか
気がかりですけれども、
そうした中でも長い間番組を続けることができましたのは、
番組にご協力いただきました多くのゲストの方々、
そして何より番組を見てくださった
視聴者の皆様方のおかげだと
感謝しています。

長い間本当にありがとうございました。

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つづく2文はたたみかけるように語り
それぞれ一文127文字と132文字です。

「NHK式」では
「一文50文字以内」がルールです。

一文が長いと意味が分かりにくくなるため、
はじめから句点「。」までを
50文字以内に収めるのです。

冒頭の挨拶部分は31文字と36文字で
「一文50文字以内」ルールが守られていました。

しかし、23年間を振り返る
この部分は、一文50文字を越えていました。

しかも、瞬きの回数が多い点は
いつもの国谷さんらしくない話し方でした。
しかしそのぶん、
彼女の感極まる思いが伝わってくるようでした。

『放送ウーマン賞』
『菊池寛賞』
『日本記者クラブ賞』
数々の賞を受賞するなど
素晴らしい業績を
お持ちの国谷キャスター。

最終回当日にアップした
私のFacebook投稿にも

「質問の立て方、
相手の話の聞き方、
自分も拝見していて勉強になります。
本当に残念です」

「見ておりました。
残念でなりません」

など、降板を惜しむ声が寄せられました。

国谷キャスター、
23年間お疲れ様でした。
今後ますますのご活躍をお祈りしつつ、
また国谷さんの話し方を分析できるような番組で
お目にかかる機会があることを信じております。
春。
出会いと別れの季節、
お世話になった方々に向けて
挨拶を求められる機会もあることでしょう。

私たちも、いかなる時も、
信頼感の揺るがない話し方を
心がけるようにしたいものですね。

 

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