【後編】どんな説明も分かりやすく伝えられるキーフレーズとは?

前回のブログで、

日本テレビ系列
『行列のできる相談所』の企画として
先月7日に放送された
『心を動かすスピーチ王選手権!』
という番組から、
印象に残ったスピーチを取り上げました

https://www.ntv.co.jp/horitsu/

中でも「さすが、上手い」と唸ったのが、
俳優の武田鉄矢さん。


出典:https://www.tfac.ac.jp/230507tv/

「ですね」を効果的に使って、
説明をわかりやすく伝えていました。

なぜ「ですね」を使うと分かりやすいのか、
ぜひ考えてみてくださいと、
前回お伝えしました。
あなたの予想はまとまりましたか?
もちろん、唯一の正解はありません。

今回は私の考えをお伝えしますね。

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「ですね」は聞き手に伴走する言葉
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同番組で放送されたスピーチで
武田さんは、

「衣」という漢字の成り立ちについて
説明したあとに「面白いですね」

「服飾」という言葉の由来を説明したあとに
「興味深いですね」
と、コメントしていました。

前者は「面白いですねっ!」と
歯切れよく言い切り、
後者は「興味深いですね~」と
語尾の音を上げながら
伸ばし気味に語りかけていました。

彼のスピーチを聞くと、
日頃、漢字にそれほど関心がない人も
「へえ~」と興味を持ち、
わかりやすいと納得してしまいます。

その秘密が「ですね」なのです。

もちろん、今回の場合はテーマが
「文字」という日常的に使うものであるため
理解しやすい、ということもあるでしょう。

では、テーマが
専門的な難しい内容だったらどうでしょう。
「ですね」を使っても理解しやすくは
ならないのでは?
と思われるかもしれません。

しかし、同じ手法を使って、
難解な話であっても
分かりやすく説明する達人がいます。

ジャーナリストの池上彰さんです。
「わかりやすいニュース解説」に
定評がありますね。

池上さんは、2023年3月、
アメリカのトランプ前大統領が
NY州の大陪審に起訴された事件の
解説をしたYouTube番組で、
同じような伝え方をしています。

トランプ前大統領の支持率が
起訴後に上がったことを説明して、
「これ、びっくりですよね」

『池上彰と増田ユリヤのYouTube学園』
https://www.youtube.com/watch?v=lmcPbezv1Pc
こちらの17分30秒~


出典:https://www.youtube.com/watch?v=lmcPbezv1Pc

さらに、2022年8月、
ドイツで廃止が決定していた
石炭火力発電所が市場復帰するという
ニュースについて、
ロシアがドイツへの天然ガス供給量を
激減させていることが原因だと
解説したあともこう述べました。

「悲惨ですよね」

MBS毎日放送『よんちゃんTV』
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/99230
こちらの12分07秒~


出典:https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/99230

なぜ
文末に「ですね」「ですよね」を付けると
説明が分かりやすくなるのでしょう。

それは文法上の効果です。
「ですね」「ですよね」のように
文の最後に付けて疑問形にする用法は、
付加疑問と呼ばれます。

英文で
“This is interesting, isn’t it? ”のように
「~ですよね」と相手に確認したり、
念を押したりする目的で使います。

確認しながら話を進めることで、
一方的ではなく
双方向のやりとりができるため
聞き手を取り残さないのです。

「ですね」「ですよね」を使って
説明するときのポイントは、3つあります。

まず、使う箇所。
説明前ではなく、詳細を説明した後に
まとめとして使うのです。

さらに、1回だけではなく、
説明の要所要所で何度か使います。

説明は事実やデータの羅列で
退屈になりがち。
聞き手の理解度を見ながら
伴走するように複数回使うのが
おすすめです。

2つ目のポイントは、
「感情の言葉」と一緒に使うこと。
説明を聞いた相手に
もってほしい感情の言葉に
「ですね」「ですよね」をつけるのです。

「面白い」と思ってほしい場合は
「面白いですね」

聞き手が「難しい」と思っていそうな時、
でも「わかれば興味深い」と
結果的に思ってほしい時は、

「難しいですよね。
でも、わかればとても興味深い話ですよね。
ご説明します」

というように使ってみましょう。

このように文末をまとめることで
聞き手の理解を誘導できます。

スピーチの目的のひとつは、
相手を動かすこと。

「ですね」「ですよね」という言葉は、
自分の話をどう受け止め、
どう動いてほしいかを示します。

ですから、
聞き手は自分で判断する必要がなく、
分かりやすいと感じるのです。

最後のポイントは、言い方。
繰り返し使っても
単調にならない工夫が必要です。

池上さんは
「感情の言葉」のバリエーションで
変化をつけていました。

武田さんは
「ですね」を強く言い切ってみたり、
語尾を伸ばしてみたりと、
非言語表現に工夫をしていました。

このように、
聞いた相手にもってほしい感情を
「ですね」「ですよね」をつけてまとめると
説明を分かりやすく伝えられるのです。

すぐに取り入れることができる
便利な言葉「ですよね」。

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動画で学ぶなら
https://bit.ly/431hvUk


2023年6月22日