正統派スピーチ コンサルティング

菅首相の施政方針演説 真似したい上手いポイントもあります

今月18日、通常国会が召集され、
菅義偉首相が施政方針演説を行いました。

出典 https://www.facebook.com/sourikantei

ニュース報道やSNSなどを見ると
この演説内容については
色々な意見があるようですが、
スピーチスキルだけみると
「上手いポイント」もあります。

今回は、この施政方針演説の中で
私たちが真似すると良いポイントを
お伝えします。

実際のスピーチ動画は
首相官邸の公式サイトをご覧ください。
https://bit.ly/3szMo13

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スピーチスキルは事前に「仕込む」
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今回の演説を動画で見ていた私は、
冒頭に菅首相が行ったある行動から
「あ、今回はもしかして
あのテクニックを使うのかな?」
と期待しておりました。
すると…ばっちり使ってくれました!

そのテクニックとは何か。
それは、「間(ま)」をとることです。

そして、
冒頭に菅首相が行ったある行動とは何か?
それは、演説に入る前に
用意してあった水差しから
コップに水をつぐ行為です。

菅首相は11秒かけて
ゆっくりと水を注いだあとに一礼し、
スピーチ原稿を読み始めました。

この「水を飲む」は、
拙著
『たった一言で人を動かす 最高の話し方』
で、「間(ま)のつくり方初級編」として
ご紹介した方法です。

聞き手に伝わるスピーチをするためには、
間(ま)は重要なスキルです。

とはいえ、
黙って間(ま)をとるという方法は、
スピーチに慣れている人でも緊張するもの。

そこで、
同書では初心者でもできる方法として、
間(ま)をとりたいタイミングで
動作を入れることをおすすめしました。

そして、
スムーズに間(ま)をとるためには、
今回の菅首相のように
演説に入る前に水をついで
仕込んでおく必要があります。

ベッドボトルなら、
蓋は一度開けてから再度閉めておきます。
飲もうとしたときになかなか蓋が開かない
ということがあるからです。
いずれにしても、事前の準備が大事なのです。

では、
菅首相がおこなった間(ま)のとり方を
具体的にみていきましょう。

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1.拍手を待つ間(ま)をとる
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スピーチの始まりは、
新型コロナウイルス感染症対策への
決意表明でした。

動画の2分13秒あたりです。
「難局を乗り越えていく決意であります」
というところで、
まっすぐ前を見て声のトーンをあげていき、
拍手を促します。

そして、
次の「今回、緊急事態宣言を発出しました」
という言葉の前に約8秒の間(ま)をつくり、
沸き起こった拍手が静まるのを待っています。

あらかじめ
拍手が起こりそうなところを想定しておき、
そこに間(ま)をつくるというスキルです。

仮に、拍手が起こらなかったり、
反応がなかったりしたときは、あえて
「あれ?ここは拍手するタイミングですよ」
などと言って笑いをとっても良いでしょう。

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2.水を飲むことでロングの間(ま)をつくる
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菅首相は、
15分13秒から、水を飲むことで
8~9秒の間(ま)をつくっています。
これは同書でも解説している
「ロングの間(ま)」です。

ただ、水を飲む場所が
もっと効果的な場所であればと、
少しもったいない間(ま)のとり方でした。

効果的な場所とは、
話の転換箇所、つまり区切れです。

今回の演説は全体で44分間あり、

1)新型コロナウイルス対策
2)東日本大震災からの復興、災害対策
3)我が国の長年の課題に答えを
4)地方への人の流れをつくる
5)少子化対策と社会保障の将来
6)外交・安全保障
7)おわりに

という7つの章立てになっています。
その各章の中に
いくつかの節があるという構成でした。

菅首相が水を飲んだ15分13秒あたりは、
第3章「我が国の長年の課題に答えを」の
第2節目と第3節目の間。

話の句切れではありましたが、
同じ章内でした。
章の区切れで意図的に水を飲めば、
よりよかったのではないでしょうか。

(※ちなみに、
 19分53秒に水を飲んだシーンは
 話の句切れではないため、
 拍手が起きた間(ま)を使い
 喉が渇いたので飲んだという感じが
 否めません。

 はやぶさ2のカプセルの帰還という
 明るい話題でもありますから、
 やや残念でした。)

水を飲むタイミング は、
一つのテーマを話し終えた区切りです。

水を飲みながら
ロングの間(ま)を入れることで、
聞き手は今までの話を整理でき、
次のテーマへの期待も高まります。

原稿を読む場合は、
「ここで水を飲む」など書きこんでおくと
良いですね。

また、33分53秒あたりで、
噛んだあとに
水を飲んでいる場面もありました。

菅首相は、こうした失敗の立て直しのために
水を飲んだようですが、
(もちろんこの方法もスキルの一環です)
意図的に間(ま)を取るために
使うこともできるのです。

今回は水を例に挙げましたが、
他にも資料やホワイトボードなどの
道具を上手に使えば
間(ま)をとる場所、
長さをコントロールできます。

簡単にできることですが、
知っているのと知らないのとでは大違い。
ぜひお試しください。

★「間(ま)」をコントロールして
聞き手を動かすスピーチスキルを
身につけましょう。
基礎編
https://bit.ly/3sSQnG7
実践編
https://bit.ly/36cVYxj


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あとがき
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今月21日(日本時間)、
ジョー・バイデン氏が
第46代アメリカ大統領に就任しました。

NHKニュースのサイトに、
このような記事が掲載されています。

「『きつ音』の大統領誕生へ
アメリカ社会に希望見いだす人たち」
https://bit.ly/3iuvrR0

バイデン氏は、子どもの頃から
きつ音に悩まされていたといわれています。
その経験をもとに、
同様にきつ音に悩む人たちと交流を続け、
アドバイスを送っているとのこと。

そして、
大統領就任式で自作の詩を披露し、
世界中から注目されることとなった
アマンダ・ゴーマン氏。
彼女も言語障害を乗り越えてのスピーチ
だったと報道されています。

実際の動画はこちらです。

こうしたエピソードによって、
「スピーチは誰でも訓練すれば上達するもの」
という考えが広まることを期待しています。
「スピーチが重視されるアメリカ社会」
だけでなく、日本でも。

そして大事なことは、
その正しい訓練法も一緒に広まること。

「よし、 私が広めるぞ!」
と決意を新たにしています。

遅くなりましたが、
2021年もどうぞよろしくお願いします。

★あなたの話し方を
ビジネスの武器に変えるために
必要なのは正しい理論です。
『「人を動かす話し方」を身につけるための
 教材専門オンラインSHOP』
https://bit.ly/3t4F4e6


2021年1月25日


米大統領選・ハリス氏の勝利スピーチはここが上手い【前編】

11月3日(現地時間)、米国では
4年に一度の大統領選挙が行われ、
その行方に世界中が注目しました。

投票の結果、現地時間7日に
民主党のジョー・バイデン氏が
当選確実との報道がなされました。

これを受けて、
次期副大統領に就任するとされる
同党上院議員のカマラ・ハリス氏が
行った勝利スピーチが
称賛を集めています。

あなたも、すでにご覧になりましたか?
スピーチ動画はこちら

新型コロナウイルス感染症の影響により
ドライブイン形式で行われた演説会場には
大勢の支持者が集まり、
彼女のスピーチに耳を傾けました。

米国史上初の女性副大統領として
注目されるハリス氏。

インターネット上では、
「力強い言葉に感動した」
「彼女が初の女性大統領になるだろう」
といった声が飛び交いました。

今回は、
このハリス氏のスピーチうまいポイント5つ
について、矢野の視点で
2回にわけて解説します。

なお、日本語訳は
こちらのNHKのサイトを引用しました。
https://bit.ly/3q1Jpgk


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オンライン時代の聞き手は3層に分かれる
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まず、前提として
ハリス氏のスピーチのうまさは、
これからのオンライン時代に
対応した伝え方をしているという点です。

具体的には、
「3層の聞き手を意識した伝え方」です。
聞き手が3つカテゴリーに分かれるのが
オンライン時代の特徴だからです。

オンラインが始まったばかりの頃に
行われたイベントでは、
無観客で行う形式も多くありました。
しかし、それでは話し手は話しにくいもの。

そのため現在はハイブリッド型、
つまりリアルとオンライン両方を同時に使う
主催者が増えています。

たとえば
目の前で聞くのは(リアル)
厳選された10人程度で、
その他の100人はオンラインで
聞いているという形式です。

このハイブリッド型では
聞き手が3層に分かれます。

今回のハリス氏の演説で
3層について説明すると、

0層:
肉眼で話し手を見たり、
触れられる距離で話を聞いたりする人。
従来のイベントでは、この0層が多かった。
⇒今回のハリス氏のスピーチでは、0人。

1層:
現場にいるが、画面を通して話し手を見ている人。
⇒今回のハリス氏のスピーチでは、
離れて車で聞いている大勢の人々

2層:
リアルタイムで見ているが、
画面で話し手を見ている人々。
⇒今回のハリス氏のスピーチでは、
自宅でテレビやネットの中継を
リアルタイムで見ている大勢の人々。

3層:後日録画を見ている世界中の人々。
⇒今回のハリス氏のスピーチでは、
こうして後日、
日本で録画を見ている私たちなど。

同じように
私たちのビジネスでも、
以前はリアルで開催していた
会議やセミナーなどにオンラインが
取り入れられると、
この3層の相手に話すことが増えてきます。

この「3層の聞き手を意識した伝え方」を
したいときに効果的なスキルが
次に説明する5つです。
ぜひ、あたなもできそうなものから
真似してみてください。

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1.登場シーンは「先に見る」
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まず注目したいのは、登場シーン。

ステージに登場したハリス氏は
すぐには演台に向かいません。
ゆっくりと手を振りながら演台の前を歩いて、
反対側から回って演台に立ちました。

その後、聴衆を見渡しながら
「ありがとうございます」を
何度も繰り返します。

これは、拙著『NHK式+心理学
一分で一生の信頼を勝ち取る法』

で「話す前に成功を取り付ける秘策」として
紹介しているスキルです。

大勢を前に話すのは、誰でも緊張するもの。
それを和らげる方法が、
この話しだす前に、
まず聴衆を見るというスキルです。

そして、
聴衆としっかりアイコンタクトをとりながら
相手を「見る」ために有効なのが、
頭の中に疑問を持つという方法です。

たとえば、聴衆の前に立つ前に
「右奥の人はどんな服を着ているんだろう」
「一番後ろは男性かな女性かな」
などまず疑問を浮かべるのです。

そして、
答えを探しながら人前に出る。
そうすることで、ただ「見る」だけでなく
答えを探しているため目力が強くなります。

よって、聞き手に
「堂々としている」「自信がありそう」
という印象を与えることができます。

このハリス氏のスピーチをご覧になった
あなたも、そのような印象を持ったのでは
ないでしょうか。

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2.「台形バスト・ショット」をくずさない
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次に、
演台についてからの
ハリス氏の姿勢に注目しましょう。

彼女はおよそ10分間のスピーチ中
「台形バスト・ショット」の姿勢を
くずしません。

「台形バスト・ショット」とは、
肘を軽く張り、身体を台形に見せる姿勢です。

これは、拙著
『オンラインでの「伝え方」 
 ココが違います!』

で、ご紹介した
オンラインでおすすめの映り方でもあります。

この「台形バスト・ショット」を基本とし、
そして、強調したいところだけ
ジェスチャーをつけます。

これは同書でも紹介した
経営者YouTuberとして人気の
「マコなり社長」こと真子就有さんと
同じ手法です。

今回のハリス氏のスピーチでは、
動画の2分03秒~手が動いている箇所。

日本語訳では
「私たちの民主主義そのものがかかっていた
今回の選挙。
アメリカの精神が問われていた今回の選挙。
世界中が見守る中、皆さんはアメリカに
新たな未来をもたらしてくれました。」
のところです。

ここで手が動いています。

そして、手を動かすジェスチャーをした後は
基本の「台形バスト・ショット」の姿勢に
戻ります。
この「戻る」ということがとても大事です。

別のシーンをみてみましょう。
このスピーチを象徴する名フレーズとして
よく引用されている
「私は初めての女性副大統領に
なるかもしれませんが、
決して最後ではありません」の決めフレーズ。
(動画では8分33秒あたりから)

私はこのシーンをみながら
孔雀が大きく羽を広げる場面を想像しました!

なぜならハリス氏は
「最後ではありません」と言いながら、
腕を綺麗に台形に広げるジェスチャーを
していたからです。

 

このように安定した台形の姿勢をとることで、
言葉だけでなく
非言語でも力強さと自信を表現しているのです。
それはあたかも
羽を広げる孔雀のようではありませんか?

出典:https://www.bbc.com/japanese/video-54861200

あなたもぜひスピーチにおいて
孔雀のシーンを作ってください。

「ここぞ」という印象に残したい
フレーズを言いながら、
腕を台形に広げるのです。
そのフレーズが聞き手にインパクトをもって
記憶に残ります。

いかがですか?
登場シーンは「先に見る」
と、
「台形バスト・ショット」をくずさない

スキルを知ったうえで再度動画を見ると
また違った視点で見えますよ。

残り3つのポイントは
後編として次回お伝えしますね。

★時代の転換点に必要なのは
 リーダーとしてのスピーチ力。
 世界のトップリーダーの伝え方から
 学びましょう

『有事をチャンスに変える
 リーダーズスピーチ』
https://bit.ly/3fL2UFs


2020年11月30日