前編・後編に渡ってお伝えしている
石破茂 地方創生・国家戦略特別区域担当国務大臣のスピーチ。
今回ご紹介している講演会との関連はありませんが
同じ演題でのスピーチ映像があります。
2015年度京都会議の
地域再興フォーラム基調講演でのスピーチです。
石破大臣のスピーチの速度、
その雰囲気を感じてもらえるはずですので、ここでご紹介します。
52分と長い映像ではありますが、
大いに参考になりますので、ぜひご覧ください。
石破大臣のスピーチは
正統派スピーチの好例として、
以前から研究題材にさせていただいておりました。
先日、講演会の仕事でご一緒させていただきまして
同じ舞台上で講演を拝見したからこその発見がありました。
前編でお伝えした2つのポイントは、
「動かない」
「目が泳がない」
今回の後編では3つのポイント、
「ジェスチャー」
「スピーチの速度」
「フランクな台詞」
についてお伝えいたします。
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ポイント③
◆◆信頼性の高いジェスチャー◆◆
今回の演題は「地方から創生するわが国の未来」。
このテーマに沿って日本の創生について話す石破大臣が
「これに失敗したら、日本は終わりだ」
と力強く口にするシーンがありました。
この言葉の「終わりだ」の部分で
石破大臣は、胸の前に左手を振り出しました。
強調したい言葉と同時にジェスチャーをすることで
その言葉がより強調されます。
また、話し終わりの部分でジェスチャーを入れることで
観客に勢いの余韻を残すことができます。
ジェスチャーをする場合、
重要なのは、位置。
どの高さでジェスチャーをするのかによって
相手に与える印象が変わるのです。
今回、石破大臣がジェスチャーした位置は
胸の高さ。
これは信頼感を印象づける位置です。
ちなみに、
自分のおへそより下の位置でジェスチャーすることは
消極性を表すので、おすすめしません。
さらに、
石破大臣のジェスチャーのテクニックをもう1つ。
石破大臣の基本的なスタイルは、
右手でマイクを持ち、左手でジェスチャーをするというもの。
しかし、
強調したい数字を
指を一本ずつ折り曲げて示す時は、
マイクを左手に持ち替えて 右手でジェスチャーをします。
わざわざマイクを持ち替える動作によって
「これから大切なことを言うぞ」という印象を観客に与えます。
ジェスチャーの
タイミングも、高さも、テクニックも
石破大臣はパーフェクトでした!
ポイント④
◆◆ゆっくりペースの話す速度◆◆
石破大臣のスピーチを
かねてより正統派スピーチの題材として
研究させてもらっていたと、私は冒頭でお伝えしました。
その1番の理由は、
石破大臣の話す速度にあります。
石破大臣の話し方は基本的に
1分300文字の、ゆっくりペース。
これは、
NHKのアナウンサーが話すペースと同じです。
NHKのアナウンサーには放送が始まって以来
90年に渡って培われ、受け継がれてきた話し方があります。
1分300文字のペースはまさに
NHK式の伝統、信頼される話し方の極意。
相手に伝わりやすい理想の速度なのです。
詳しくは拙著、
『NHK式+心理学一分で一生の信頼を勝ち取る法
NHK式7つのルール』をご覧ください。
第6のルールを、
「1分300文字でゆっくり話す」としています。
http://www.amazon.co.jp/dp/B00MF186OY
今回の講演は1時間でした。
その中でも話す速度はメリハリがありました。
講演開始から30分後に
話すピッチが早くなり、
ジェスチャーの手振りも大きく、
ジェスチャーの位置も高くなっていきました。
話の内容がクライマックスへ入るのに合わせて
観客を駆り立てるような速度とジェスチャーに切り替えたのでしょう。
ちなみに、冒頭でご紹介した
石破大臣の京都会議でのスピーチ映像。
この映像の話す速さは、1分間あたり221文字です。
ゆっくり話しているつもりでも
ついつい早口になってしまうものです。
このくらいの速度を意識して
原稿や内容を調整してみましょう。
シュミレーションしてみて
テンポを身体で覚えてくださいね。
ポイント⑤
◆◆台詞はフランク◆◆
石破大臣のスピーチは、
一件単調に聞こえますが、そんなことはありません。
台詞と地の文のメリハリは秀逸です。
石破大臣は硬い言葉をベースに使います。
「~と存じます」
「~であります」
「~なのだが」
という堅苦しい言葉も飛び出します。
これらは、いわゆる「書き言葉」です。
しかし、
街の人の声などを話題にするときのセリフは
いたってフランク。
「そんなこといったって、おまえね」といった感じでした。
そして、
その台詞の部分は早口となり、
親しい人と会話をしているような
普通の口調なのです。
このメリハリが効いていました。
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以上3つ、
前編・後編と合わせて5つのポイントで
石破大臣の説得力ある講演の秘訣をお伝えいたしました。
映像ではなく、
実際に拝見するからこそ見出せる
新たな発見。
私の研究意欲が刺激されて
モチベーションも上がりました!!
このような機会を与えていただき感謝申し上げます。
今日からのスピーチで、話す場面で、
ぜひ活用してみてくださいね。
(2015年8月4日配信のメルマガより)
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