正統派スピーチ コンサルティング

名キャスター古舘伊知郎氏&安藤優子氏が共感を得るためにしていた共通点とは?

日本を代表する名キャスターである
古舘伊知郎氏と安藤優子氏の対談が
10月に刊行されたある雑誌に
掲載されていました。

ご存じのように、
古舘伊知郎氏は、
テレビ朝日『報道ステーション』
メインキャスターを2004年から12年間、

安藤優子氏は、『FNNスーパータイム』など
3つのフジテレビ系ニュース番組で、
1987年から計28年間にわたって
メインキャスターを務めてきた方です。


出典:https://furutachi-project.co.jp/profile/furutachi/


出典:https://www.takethink.jp/gallery/andoyuko/

生放送のニュース番組という
やり直しができない場面で
伝えてきたお二人。

対談では、限られた時間内で
正確に、かつ、聞き手に共感を持って
もらえるよう伝える方法について
お話しになっていました。

今回のメールでは
私たちもビジネス場面で活用できる
ポイントをシェアします。


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自分と聞き手の気持ちをつなげる非言語表現
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対談内で、
キャスター界の重鎮ともいえるお二人は
最近のニュースの伝え方について
こう話しています。

「最近気になるのが戦争のような
重たいニュースの後、画面が切り替わると
アナウンサーがすぐに笑顔で出てくること。

前のニュースを一呼吸も受けることなく
次の話題に移ってしまうと伝え手の息遣いが
感じられなくなってしまいます」

「わかりやすく理詰めで
説明することも大事だけど、
相手の気持ちに寄り添って
伝える情の世界も大事」

つい私たちもビジネス場面のプレゼンなどで
相手を説得するために、
データやエビデンスを示しながら
「理詰め」で説明してしまいがちです。

もちろんそれも大切なことです。
しかし、「情の世界」を伝えたほうが、
プレゼン結果が成功に
つながることもあります。

具体的な「情」の伝え方として
古舘氏は
「長くしゃべるよりも
深くため息をつくほうが伝わることもある」
とおっしゃっています。

安藤氏も
ニュースの合間に眉を寄せてみたり、
口角を上げてみたりしていたとして、
「そのニュースに対する自分の気持ちを
視聴者に伝えようとしていた」
と話されていました。

そう言われてみれば、と
お二人のキャスターワークに
思い当たる方もいるのではないでしょうか?

僭越ながら
私もNHKキャスター時代、
安藤氏と同様のことを心掛けていました。

ニュース番組で扱う話題は様々です。
世界情勢や政治経済の難しい話から
痛ましい事件事故、
地域の催しや子供たちの明るい話題までを
同じアナウンサーが伝えます。

そこで私は
明るいニュースの時と暗いニュースの時とで
そのニュースにいく直前の
それぞれ言葉と表情を変えていました。

次が明るいニュースであれば、
眉を上げて笑顔をつくり
「続いての話題です」と言います。

次が暗いニュースであれば、
何も言わず表情も眉を下げたまま
すぐに原稿を読み始めます。

人の感情が一番表れるのは
「眉」であることが
心理学者の研究によってわかっています。

このように、
言葉と表情と内容を「条件付け」することで
無意識のうちに次の話題を予測でき、
視聴者に安心感と信頼感を与えられます。

詳しくは、拙著『NHK式+心理学
一分で一生の信頼を勝ち取る法』の
第5章
「こんなに簡単で思わず結果が出てしまう!
相手から絶賛される心理テクニック」
をご覧ください。

ぜひ今一度あなたの
スピーチやプレゼンにおける
非言語表現も見直してみてくださいね。


★聞き手を引きつけ、信頼を勝ち取る
NHKのキャスターが実践している
「NHK式7つのルール」とは?
https://bit.ly/3MZK5jD

 

2023年11月27日


甲子園に学ぶ 聞き手が応援したくなる伝え方

とりわけ暑かった今年の夏の名残が、
9月になっても続いていますね。 

夏の風物詩のひとつと言えば、
全国高校野球選手権大会、つまり甲子園。

第105回大会の今年は、
神奈川県の慶応高校が、
連覇を狙った宮城県の仙台育英高校を
決勝で破り、107年ぶりの優勝を果たした
ということでも注目を集めました。

今回は、この第105回大会を例に、
アナウンサーが使っている
聞き手が感動し、応援したくなる伝え方の
ポイントをお伝えします。

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聞き手が感動し、応援したくなる伝え方
3つのポイント
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「青い空、白い雲…」
甲子園実況を44年間担当した
元朝日放送アナウンサー植草貞夫氏による、
決勝戦での最初の決まり文句です。

出典:http://office-sarah.com/uekusa_sadao.html

植草アナは
1985年のPL学園(大阪)対宇部商(山口)
による決勝戦で、
「甲子園は清原のためにあるのか」という
名言も残し、植草節と言われました。

元NHKアナウンサーの小野塚康之氏は
甲子園愛があふれる
「ハイテンション実況」が人気。

出典:https://zikkyo2.jimdofree.com/

特に、「がばい旋風」を巻き起こした、
2007年の佐賀北(佐賀)対広陵(広島)の
決勝戦は、「神実況」と呼ばれました。

甲子園はNHKとテレビ朝日系列で中継され
各局には植草アナや小野塚アナのような
名物アナウンサーが存在します。

試合だけでなく、
彼らの名言を楽しみにしている視聴者も
大勢います。

また、甲子園実況に憧れ
アナウンサーになった人も
少なくないのです。

実は、私は
NHKでアナウンスの仕事をしていたころに
小野塚アナウンサーから
指導を受けたことがあります。

名物アナは、
ニュース取材とは違う甲子園独特の
伝え方を教えて下さいました。

それが聞き手が感動し、
応援したくなる伝え方です。

今回は 第105回大会での伝え方を例に
ポイントを紹介します

1)コメントをとる

慶応と仙台育英の決勝戦では、
慶応が1960年にベスト8になった時の
キャプテン丸山武三氏のコメントを
紹介していました。

「母校が決勝まで来て誇らしい。
ここまできたら日本一になってもらいたい」

出典:https://twitter.com/nhk_koushien

対する仙台育英側の応援コメントは
去年、優勝した時のキャプテン佐藤悠斗氏。

「最後の試合なので楽しんで悔いのない
プレーを心がけてほしい」

出典:https://twitter.com/nhk_koushien

名前や肩書などの情報と、「」で引用できる
コメントを伝えることで
一次情報としての信憑性が出るのです。

現場で限られた時間のなかで
コメントを取るのは意外と難しく、
誰にどんなコメントをもらうのかで
取材者のセンスが出ます。

2)裏話を紹介

知られていない話を伝え、
興味を持たせる方法です。

例えば、
仙台育英が、自分たちの応援時に、
専大松戸高校のチャンス時に演奏する曲を
演奏した話が紹介されていました。

出典:https://twitter.com/nhk_koushien

新幹線で千葉から甲子園に向かっていた
専大松戸の吹奏楽部員が、大雨により
到着できないアクシデントが発生。
試合にも敗れてしまいました。

それを知った仙台育英の
学生指揮・馬路俊祐さんが、
次の自分たちの試合で、代わりに
演奏することを部員に提案したとのこと。

「同じ吹奏楽部として応援できなかった
思いも乗せて応援したい」という
馬路さんのコメントと裏話を一緒に伝え、
視聴者の感動を呼んでいました。

3)注目点を示す

107年ぶりに頂点に立った
慶応高校の注目点は、選手たちが行う
「ナンバーワンポーズ」でした。

片手の指3本を立てるポーズで、
大会中に選手が何度も見せていました。
これは、前向きな精神状態を作り出すための
トレーニングの一環であることを紹介。

この話を聞いた視聴者は、
試合中選手の手にも注目したでしょう。

出典:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230823/k10014172201000.html

このように、
より集中して対象を見るようになる
注目点を示すのです。

1)コメントをとる
2)裏話を紹介
3)注目点を示す

この3つのポイントを意識すると、
あなたのスピーチやプレゼンも
臨場感が生まれ、
聞き手の心を動かすものに変わります。

ぜひお試しください。


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ベースにした「NHK式」で
信頼される話し方を身につけましょう。
https://bit.ly/3PqfBru


2023年9月18日