3カ月ご無沙汰していたその理由

3カ月ぶりのとブログとなりましたことを
お許しください。

この期間、
私は昔話「鶴の恩返し」に出てくる
「つう」の気分でした。

そうです。
自分を助けてくれたおじいさんのために
自分の羽を引き抜いて布を織りつづける
鶴の「つう」です。

布を織る代わりに私が行っていたことは、
言葉を紡ぐこと。

実は今春、出版社から
急な書籍企画のご依頼がありました。
内容は「世界のトップリーダーが話す
1分前までに行っていること」。

私がスピーチコンサルタントとして
上場企業役員の株主総会や記者会見、
政治家や選挙立候補者の演説など、
トップリーダーたちの失敗できない
「ここぞ」という場面をお手伝いしてきた
内容を書くという企画です。

そのため
自分の羽を一枚一枚引き抜くように、
これまでコンサルでクライアントの方々に
お伝えしてきたことを
一つ一つ書き出していきました。

これまでの書籍に比べると
発売日まで時間がなかったため、
7年前に博士論文を書いていた頃以来、
数年ぶりに何度も徹夜しながら
書き上げました。

この「スピーチコンサルタントの恩返し」
である渾身の一冊が7月24日に

『世界のトップリーダーが話す1分前までに
行っていること
口下手な人が伝わる人に変わる
心理メソッド43』

としてPHP研究所より上梓されました。

Amazonはこちら
https://amzn.to/4cEzyoF

人生において絶対に失敗できない
人前で話す場が訪れた時、
あなたはどうしますか?

それは会議でのプレゼンかもしれませんし、
プロジェクトのキックオフミーティングや
新商品の発表かもしれません。
またはプライベートの面接やプロポーズなど
もあるかもしれませんね。

本書は、世界のトップリーダーが
話すことが決まった時から
本番の1分前まで行っていることを、
体系化したものです。

トップリーダーは誰よりも
入念な準備をしています。

たとえば、
アップル創業者のスティーブ・ジョブズ は
5分間のデモプレゼンを行うために、
チームは数百時間の準備を行ない、
ジョブズ自身も丸2日間のリハーサルを
行ったといいます。

このような事前の準備と練習があってこそ、
自然に堂々と人前で話しているように
見えるのです。

話しのうまさは、
生まれ持った才能ではありません。
誰でも事前にやるべきことをやれば、
必ず習得できる訓練可能なスキルなのです。

「話し方なんて場数を踏めばうまくなる」
「慣れれば緊張しない」
と考えている方もいるでしょう。

しかし、私はこれに賛同しません。
正しい話し方のルールを学ばずに
ただただ場数を踏むのは
「自己流」でしかないからです。

いつまでも「自己流」を続けていると、
緊張感のない慣れ合った雰囲気が
聞き手に伝わってしまいます。
当然、相手の心を揺さぶることは
できないのです。

本書では、
世界のトップリーダーが話す前に
やっていることに注目し、
心理学の見地を入れて組み立てて作った
プログラムの一部を紹介しています。

準備期間は、ずばり「半年間」です。
半年後の登壇に向けて準備すべきことを
順を追ってまとめています。

話し方のスキルを磨くこと。
それは結果として、あなたの人生を変える
大きな起点となるはずです。

このたび、
拙著『最強リーダーの「話す力」』
理想的なリーダーの話し方として例に挙げ、
今年3月に放送された
NHK『100分de名著』でも
ご縁があった、
松下幸之助氏が創設した出版社より
上梓できたこと、
ありがたく思っております。

▼100分de名著forユース(2024年3月11日放送)
松下幸之助「道をひらく」
https://bit.ly/4fiDBJa

本書でご紹介したスキルが
あなたにとっての
「一生が決まる瞬間」を成功に導く
後押しとなれば幸いです。


2024年7月27日

 


人前で話すときの「声」。使い分けていますか?

 

3月1日のブログで「語り」を
担当することをお伝えした
NHK『100分de名著』forユース。
おかげさまで無事に放送されました。

3月4日放送
シュリーマン『古代への情熱』
3月11日放送
松下幸之助『道をひらく』

ご覧いただきありがとうございます。

担当プロデューサーによると
特に第2週目の松下幸之助『道をひらく』は
平均視聴率をかなり上回る数字を
マークしたとのこと。

さらに、同書はトーハン週間ベストセラー
ビジネス書部門(3月19日調べ)で、
第4位にランクインしています。

私事ですが、大学生の息子も、
第1週で取り上げた
シュリーマン『古代への情熱』を
父親の本棚から取り出して読んでいました。

今回の番組を通し、
多くの方々が名著と触れ合う機会を持つ
お手伝いができて、光栄です。

そして、放送をご覧になった方から
たくさん感想をいただいております。
ありがとうございます。

番組の内容はもちろん、
こんな感想も多くいただきました。

「矢野さんの声、
お会いしているときとちょっと違う。
プロのお仕事だなって思いました」

「いつもの矢野先生の声より
若いなぁ~と感じました。
『おや、妹さん?』なぁ~んて
思っちゃいました」

「素敵な大人の語りでした。
あんな声だったかなぁ?なんて
思いながら拝聴いたしました」

などなど
矢野の声が講演やセミナーの時と
違ったという感想です。

皆さん、鋭い!
実はこれ、私なりの作戦でもありました。

今回は、人前で話す場面で
あなたにも取り入れていただきたい
「声の使い分け」についてお話します。


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使い分けのポイントは、話し方の階層
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私なりの作戦とは何か?

それは数年ぶりに古巣であるNHKで
アナウンス業務に復帰するにあたり、
「話し方の階層」を意識して
声を使いわける作戦です。

「話し方の階層」については、
拙著『最強リーダーの「話す力」
誰から見てもリーダーらしく見える
「話し方」の秘密』でも解説しています。

第1階層:一般の人向け
(目的は「好感を獲得する」)
第2階層:ビジネスパーソン向け
(目的は「分かりやすく伝える」)
第3階層:リーダー向け
(目的は「影響力を持つ」)

特にビジネスシーンで重要となるのは
第2階層と第3階層。
これらを使い分けるポイントは、
「自分にしかできない話かどうか」です。

例えば、
人前でプレゼンテーションをする時。
自分がプレゼンターを務める
予定だったのに体調不良などで
登壇できなくなったとします。

代わりに別の人がプレゼンできる
内容なのであれば、
その場で求められているのは
第2階層の話し方です。

しかし、
あなたの過去の経験談やエピソードが中心の
プレゼンであれば、
あなたにしか話せません。

体調不良であれば
日程変更せざるを得ないでしょう。
こういった場合は、
第3階層の話し方が求められています。

今回の私のケースでいうと、
『100分de名著』の
「語り」というナレーションは、
毎回、別のアナウンサーやナレーターが
担当している業務です。

主役は紹介する名著、または
ゲストである指南役とMCの方々です。
分かりやすく伝えるという目的を
最優先とするため、
第2階層となります。

対して、講演やセミナーでは、
私自身のこれまでの研究結果を踏まえて
独自のメソッドをお伝えするため、
第3階層となります。

この「話し方の階層」の違いを
今回は声で表現しようと考えたわけです。

放送をご覧になった方からは、

「矢野香を匂わせない。
声の奥深さ…
プロの仕事を体感しました」

「講演やセミナーでの“鋭柔自在”の
声の印象が強烈で
テレビ画面からナレーションが
聞こえてくるのが変な感覚です

交通機動隊の方が
アクロバティックな追跡劇もできるけれど
一定速度でぴったりで直線上を走行できる
みたいなものかと得心しました」

という感想をいただきました。
(ご本人から許可をいただき掲載しています)
ありがとうございます。

「矢野香を匂わせない」と感じて
いただいたのは、第2階層だからでしょう。

また、交通機動隊の比喩が
絶妙なご感想では、
「一定速度」が第2階層、
「追跡劇」が第3階層となるでしょう。

お2人とも
鋭いご指摘ありがとうございます。

『100分de名著』を
見逃したという方、
再度、声の違いに注目してみたいという方は
NHK オンデマンドで
視聴可能です(有料サービス)。
https://www.nhk-ondemand.jp/

あなたも、人前で話す時は
この場は第2階層で話すのがふさわしいのか
あるいは第3階層なのかを考えて、
声を使い分けてみてくださいね。

 

★「何を語るか」の言語表現。
 「どう語るか」の非言語表現。
この2つに意図を持つことで
人を動かす話し方となる。

そんな「NHK式」話し方を
身につけましょう。
https://bit.ly/3U0UMq3


2024年4月4日