人前で話すときの「声」。使い分けていますか?

 

3月1日のブログで「語り」を
担当することをお伝えした
NHK『100分de名著』forユース。
おかげさまで無事に放送されました。

3月4日放送
シュリーマン『古代への情熱』
3月11日放送
松下幸之助『道をひらく』

ご覧いただきありがとうございます。

担当プロデューサーによると
特に第2週目の松下幸之助『道をひらく』は
平均視聴率をかなり上回る数字を
マークしたとのこと。

さらに、同書はトーハン週間ベストセラー
ビジネス書部門(3月19日調べ)で、
第4位にランクインしています。

私事ですが、大学生の息子も、
第1週で取り上げた
シュリーマン『古代への情熱』を
父親の本棚から取り出して読んでいました。

今回の番組を通し、
多くの方々が名著と触れ合う機会を持つ
お手伝いができて、光栄です。

そして、放送をご覧になった方から
たくさん感想をいただいております。
ありがとうございます。

番組の内容はもちろん、
こんな感想も多くいただきました。

「矢野さんの声、
お会いしているときとちょっと違う。
プロのお仕事だなって思いました」

「いつもの矢野先生の声より
若いなぁ~と感じました。
『おや、妹さん?』なぁ~んて
思っちゃいました」

「素敵な大人の語りでした。
あんな声だったかなぁ?なんて
思いながら拝聴いたしました」

などなど
矢野の声が講演やセミナーの時と
違ったという感想です。

皆さん、鋭い!
実はこれ、私なりの作戦でもありました。

今回は、人前で話す場面で
あなたにも取り入れていただきたい
「声の使い分け」についてお話します。


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使い分けのポイントは、話し方の階層
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私なりの作戦とは何か?

それは数年ぶりに古巣であるNHKで
アナウンス業務に復帰するにあたり、
「話し方の階層」を意識して
声を使いわける作戦です。

「話し方の階層」については、
拙著『最強リーダーの「話す力」
誰から見てもリーダーらしく見える
「話し方」の秘密』でも解説しています。

第1階層:一般の人向け
(目的は「好感を獲得する」)
第2階層:ビジネスパーソン向け
(目的は「分かりやすく伝える」)
第3階層:リーダー向け
(目的は「影響力を持つ」)

特にビジネスシーンで重要となるのは
第2階層と第3階層。
これらを使い分けるポイントは、
「自分にしかできない話かどうか」です。

例えば、
人前でプレゼンテーションをする時。
自分がプレゼンターを務める
予定だったのに体調不良などで
登壇できなくなったとします。

代わりに別の人がプレゼンできる
内容なのであれば、
その場で求められているのは
第2階層の話し方です。

しかし、
あなたの過去の経験談やエピソードが中心の
プレゼンであれば、
あなたにしか話せません。

体調不良であれば
日程変更せざるを得ないでしょう。
こういった場合は、
第3階層の話し方が求められています。

今回の私のケースでいうと、
『100分de名著』の
「語り」というナレーションは、
毎回、別のアナウンサーやナレーターが
担当している業務です。

主役は紹介する名著、または
ゲストである指南役とMCの方々です。
分かりやすく伝えるという目的を
最優先とするため、
第2階層となります。

対して、講演やセミナーでは、
私自身のこれまでの研究結果を踏まえて
独自のメソッドをお伝えするため、
第3階層となります。

この「話し方の階層」の違いを
今回は声で表現しようと考えたわけです。

放送をご覧になった方からは、

「矢野香を匂わせない。
声の奥深さ…
プロの仕事を体感しました」

「講演やセミナーでの“鋭柔自在”の
声の印象が強烈で
テレビ画面からナレーションが
聞こえてくるのが変な感覚です

交通機動隊の方が
アクロバティックな追跡劇もできるけれど
一定速度でぴったりで直線上を走行できる
みたいなものかと得心しました」

という感想をいただきました。
(ご本人から許可をいただき掲載しています)
ありがとうございます。

「矢野香を匂わせない」と感じて
いただいたのは、第2階層だからでしょう。

また、交通機動隊の比喩が
絶妙なご感想では、
「一定速度」が第2階層、
「追跡劇」が第3階層となるでしょう。

お2人とも
鋭いご指摘ありがとうございます。

『100分de名著』を
見逃したという方、
再度、声の違いに注目してみたいという方は
NHK オンデマンドで
視聴可能です(有料サービス)。
https://www.nhk-ondemand.jp/

あなたも、人前で話す時は
この場は第2階層で話すのがふさわしいのか
あるいは第3階層なのかを考えて、
声を使い分けてみてくださいね。

 

★「何を語るか」の言語表現。
 「どう語るか」の非言語表現。
この2つに意図を持つことで
人を動かす話し方となる。

そんな「NHK式」話し方を
身につけましょう。
https://bit.ly/3U0UMq3


2024年4月4日


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2024年4月4日