甲子園に学ぶ 聞き手が応援したくなる伝え方

とりわけ暑かった今年の夏の名残が、
9月になっても続いていますね。 

夏の風物詩のひとつと言えば、
全国高校野球選手権大会、つまり甲子園。

第105回大会の今年は、
神奈川県の慶応高校が、
連覇を狙った宮城県の仙台育英高校を
決勝で破り、107年ぶりの優勝を果たした
ということでも注目を集めました。

今回は、この第105回大会を例に、
アナウンサーが使っている
聞き手が感動し、応援したくなる伝え方の
ポイントをお伝えします。

*******************************************
聞き手が感動し、応援したくなる伝え方
3つのポイント
*******************************************

「青い空、白い雲…」
甲子園実況を44年間担当した
元朝日放送アナウンサー植草貞夫氏による、
決勝戦での最初の決まり文句です。

出典:http://office-sarah.com/uekusa_sadao.html

植草アナは
1985年のPL学園(大阪)対宇部商(山口)
による決勝戦で、
「甲子園は清原のためにあるのか」という
名言も残し、植草節と言われました。

元NHKアナウンサーの小野塚康之氏は
甲子園愛があふれる
「ハイテンション実況」が人気。

出典:https://zikkyo2.jimdofree.com/

特に、「がばい旋風」を巻き起こした、
2007年の佐賀北(佐賀)対広陵(広島)の
決勝戦は、「神実況」と呼ばれました。

甲子園はNHKとテレビ朝日系列で中継され
各局には植草アナや小野塚アナのような
名物アナウンサーが存在します。

試合だけでなく、
彼らの名言を楽しみにしている視聴者も
大勢います。

また、甲子園実況に憧れ
アナウンサーになった人も
少なくないのです。

実は、私は
NHKでアナウンスの仕事をしていたころに
小野塚アナウンサーから
指導を受けたことがあります。

名物アナは、
ニュース取材とは違う甲子園独特の
伝え方を教えて下さいました。

それが聞き手が感動し、
応援したくなる伝え方です。

今回は 第105回大会での伝え方を例に
ポイントを紹介します

1)コメントをとる

慶応と仙台育英の決勝戦では、
慶応が1960年にベスト8になった時の
キャプテン丸山武三氏のコメントを
紹介していました。

「母校が決勝まで来て誇らしい。
ここまできたら日本一になってもらいたい」

出典:https://twitter.com/nhk_koushien

対する仙台育英側の応援コメントは
去年、優勝した時のキャプテン佐藤悠斗氏。

「最後の試合なので楽しんで悔いのない
プレーを心がけてほしい」

出典:https://twitter.com/nhk_koushien

名前や肩書などの情報と、「」で引用できる
コメントを伝えることで
一次情報としての信憑性が出るのです。

現場で限られた時間のなかで
コメントを取るのは意外と難しく、
誰にどんなコメントをもらうのかで
取材者のセンスが出ます。

2)裏話を紹介

知られていない話を伝え、
興味を持たせる方法です。

例えば、
仙台育英が、自分たちの応援時に、
専大松戸高校のチャンス時に演奏する曲を
演奏した話が紹介されていました。

出典:https://twitter.com/nhk_koushien

新幹線で千葉から甲子園に向かっていた
専大松戸の吹奏楽部員が、大雨により
到着できないアクシデントが発生。
試合にも敗れてしまいました。

それを知った仙台育英の
学生指揮・馬路俊祐さんが、
次の自分たちの試合で、代わりに
演奏することを部員に提案したとのこと。

「同じ吹奏楽部として応援できなかった
思いも乗せて応援したい」という
馬路さんのコメントと裏話を一緒に伝え、
視聴者の感動を呼んでいました。

3)注目点を示す

107年ぶりに頂点に立った
慶応高校の注目点は、選手たちが行う
「ナンバーワンポーズ」でした。

片手の指3本を立てるポーズで、
大会中に選手が何度も見せていました。
これは、前向きな精神状態を作り出すための
トレーニングの一環であることを紹介。

この話を聞いた視聴者は、
試合中選手の手にも注目したでしょう。

出典:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230823/k10014172201000.html

このように、
より集中して対象を見るようになる
注目点を示すのです。

1)コメントをとる
2)裏話を紹介
3)注目点を示す

この3つのポイントを意識すると、
あなたのスピーチやプレゼンも
臨場感が生まれ、
聞き手の心を動かすものに変わります。

ぜひお試しください。


★アナウンサーが実践する話し方を
ベースにした「NHK式」で
信頼される話し方を身につけましょう。
https://bit.ly/3PqfBru


2023年9月18日