矢野香の仕事について

長崎市長の「平和宣言」が感動を与えた秘密

長崎に原爆が投下されて78年となる
2023年8月9日。
長崎市で平和祈念式典が行われ、
鈴木史朗・長崎市長が「長崎平和宣言」を
世界に向けて発信しました。

「長崎平和宣言」は被爆者や有識者による
起草委員会の議論をもとに作成され、
長崎市長が読み上げます。

私もスピーチ研究者として、
何より長崎市出身者として、
お手伝いさせていただきました。

式典終了後、SNSには、
「ありきたりではなく、
よくある作られた原稿チックではなく、
市長として、長崎市民として、被爆2世として、
人間としての思いがこもった平和宣言」

「冷静で力強く、心から地球の全ての人に
訴えかける宣言でした」

などの感想が寄せられました。

このメールを読んでくださっている方々にも
ぜひ「長崎平和宣言」のメッセージを受けとめ
平和について今一度考えていただきたく、

また、スピーチの学びとしても鈴木市長の
準備過程を知っていただきたく、
今回はこの「平和宣言」を取り上げます。

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平和宣言」の原稿が厚かった理由
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鈴木市長による平和宣言の全文は
こちらでご覧になれます。

長崎市の公式ホームページ
https://bit.ly/47E3CyX

動画は長崎市公式YouTubeチャンネル
https://bit.ly/47slgW3

SNSに寄せられた感想の中でも
特に若い方々からの
「長崎市長の平和宣言、ぶち胸うたれた」
「長崎市長の平和宣言のスピーチ
めっちゃよかった。涙出た」
というツイートや、

「長崎市長の平和宣言
とても心に響いたので、
子ども達も手をとめて真剣に見ていた。
政治家の熱量って大事なんだな」
といった子どもの反応。

世代を超えて平和宣言が届いたことに、
スピーチの力を痛感しています。

中には、

「鈴木市長はこの原稿を
何度も何度も何度も何度も
読み込んだと思います」

「ウエメセ(上から目線)な書き方になって
申し訳ないですが
滑舌が弱点な人とは思えなかった」

など、
スピーチトレーニングの内容が
ばれそうなコメントもありました(笑)

「壇上に上がられた時、
宣言原稿の厚さにびっくりしたけど
凄い熱量を持って話されて
最後まで聞き入ってしまった」

と、市長が手にしていた原稿の厚さに
言及している鋭い方も。

出典:https://www.youtube.com/@prmvlibrary 長崎市公式チャンネル

実は、
例年の平和宣言とスピーチ時間は同じですが
今年の宣言文は字数が少なくなっています。

しかし、
原稿の厚さは例年より厚くなっています。

まさにそこに、
聞き手に「伝わった」と言われる
秘訣があるのです!

実際、SNSでの感想を拝見すると
「今までのどの市長よりも
心がこもっていたように思います」
と述べていた方もいました。

詳細は実施したトレーニング内容に
関わりますので書けませんが、
ヒントはこちらの拙著
『NHK式+心理学
一分で一生の信頼を勝ち取る法』でも
紹介したスキルです。


「NHK式7つのルール」の
第5のルール「4つの抑揚で強調する」。

徐々に音が下がっていくのが
正しい日本語の抑揚ですが、
その中で、
強調したい言葉の最初の一文字目を
高く発音するのです。

私のスピーチトレーニングでは、
こうした音の高低を
楽譜のように書き込んだ原稿を見ながら
スピーチをする「楽譜式」を
取り入れています。

「話し方」という目に見えないものを
楽譜のように原稿に書き込むことで
見える化するのです。
詳細は拙著55ページをご覧ください。

今回の平和宣言でも
楽譜式の原稿を取り入れたところ、
原稿が厚くなったという次第です。

なお、
はじめにもご紹介した
長崎市の平和宣言公開ページには
賛同ボタンも設けられています。
https://bit.ly/47E3CyX

この宣言に賛同いただける方は、
ぜひ文末の「賛同」ボタンのクリックで
意思表示をなさってみてください。

★伝えたい言葉がきちんと伝わる
「NHK式7つのルール」を動画で実践
https://bit.ly/3OCoiyl


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あとがき
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ディスカバー21さんの
「編集者の推し本フェア」にて、

出典:https://note.com/discover21/m/mfc4d61562cf3

拙著『最強リーダーの「話す力」』を
担当編集の千葉さんが
推薦してくださいました。
https://note.com/discover21/n/n06bffdb4a439

すでに読まれた方も、この機会に再読して
リーダーとしての話し方を
復習してみてくださいね。

★「人を動かす」「思いを伝える」
話し方のスキルを動画で学べます
『「人を動かす話し方
 教材専門オンラインSHOP』
https://bit.ly/3sbL2hb


2023年8月17日


大型連休中の読書におすすめの本3選

前回のブログでご紹介した
雑誌『PRESIDENT』での連載

『6大法則「謙虚なリーダー」の
人がついてくる話し方』
お読みいただけましたか。

第1の法則「明確化」
(『PRESIDENT』 2023年3/31号)
https://bit.ly/40q9hUq
西武ホールディングス社長 後藤高志氏。

第2の法則「言葉に誠を込める」
(『PRESIDENT』 2023年4/14号)
https://bit.ly/3oqCHUZ
衆議院議員 野田佳彦氏。

そして、現在発売中の
『PRESIDENT 』2023年5/5号で
紹介しているのは、

第3の法則「自分の言葉で語る」
https://bit.ly/41M7ry5

NTTドコモ社長 井伊基之氏に
ご登場いただきました。

実は、記者会見の前などには
スピーチのトレーニングを行い、
この取材時もメイクさんが
傍らについていた井伊社長。

経営者にとっての自己表現が
いかに大切かを、ご存じの方でした。

今後も注目の経営者が登場しますので
どうぞお楽しみに。

さらに!
誌面では伝えきれなかったこぼれ話を
皆様にお伝えするためのイベントを
開催できないか、現在、考えております。

久しぶりに対面開催を計画中。
こちらもご期待ください。

さて、もうすぐ大型連休ですね。
今日は、
こちらの『PRESIDENT』に加えて、
大型連休中にぜひ読んでいただきたい
書籍をご紹介します。

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大型連休中に読みたい本3選
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1)
『頭のいい人の対人関係
誰とでも対等な関係を築く交渉術』
犬塚 壮志 (著)
サンクチュアリ出版

https://amzn.to/3Vdq9gd

私が所属する日本コミュニケーション学会の
ニューズレターで、
コミュニケーション研究に携わる
専門の先生方にもご紹介した一冊です。

認知科学・心理学分野の1000本以上の
学術論文から実践で使えるものを
厳選しています。

参考文献の膨大さからも
労作なのが伝わりますが、
本文はイラストも使ってわかりやすく
まとめられています。

2)
『マンガ ぼけ日和』
矢部 太郎 (著), 長谷川 嘉哉 (原案)
かんき出版


https://amzn.to/3Aiiwv4

認知症の進行を四季(春・夏・秋・冬)
に分けて描き、
介護者がどう対応したらいいのか
解説したベストセラー、
『ボケ日和―わが家に認知症がやって来た!
どうする?どうなる?』の漫画版です。

私は原著をすでに
読んでいたのにも関わらず、
ほのぼのとしたイラストに
再度笑って、泣きました。

『マンガ ぼけ日和』は
「週間ベストセラーランキング」総合12位
(2023年4月18日トーハン調べ)となり、
現在9万部のベストセラーです。

冒頭には、
原案の認知症専門医・長谷川嘉哉先生が
どのような思いで講演をなさっているのか、
というエピソードもマンガになっています。

長谷川先生の著者・講演者としての
使命を感じるエピソードでおすすめです。

3)
『社会人になったらすぐに読む文章術の本』
藤吉 豊・小川 真理子 (著)
KADOKAWA

https://amzn.to/41SIQYD

以前、このメールでもご紹介した
『「話し方のベストセラー100冊」の
ポイントを1冊にまとめてみた。』
https://bit.ly/3vY8DBA
など、
ベストセラー多数の著者の最新刊です。

学生に推薦しようかと読んでみたのですが、
社会人にとっても大変有益な一冊。

巻末の
「メールテンプレート集」
「悩み別インデックス」が、
困ったときに辞書のように使えて便利です。

大型連休の過ごし方を
まだ決めていないという方は、
本日ご紹介した雑誌や書籍を
読んでみてはいかがでしょうか。
あなたの感想もぜひ聞かせてください。

★部下からも上司からも信頼される
コミュニケーション法を動画で学ぶなら

『ビジネスマンのための信頼を勝ち取る
 コミュニケーションの法則』
https://bit.ly/3NgF1Im

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あとがき
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メルマガを読んでくださっている
Yさんから、あるスピーチについて
メッセージをいただきました。

4月5日に、ニュージーランドの
アーダーン前首相が政治家として
最後に行った議会演説についてです。

NHKニュースはこちら
https://bit.ly/41L5lhO

フルバージョンはこちら
https://bit.ly/3N53sZe

ご本人から許可をいただきましたので、
メールをご紹介します。

====(ここから)

ニュースで
アーダーン前首相のスピーチを知り、
「これぞダイバーシティ」と
感銘を受けました。

矢野さんが以前おっしゃっていた
「すべての聴衆に語りかける」を、広く
世の中に対して実行しているのですよね。

テレビでスピーチの最後のところを
放映していたのをみて、
“Just like me” が心に残りました。

スピーチ全文を原文で読むと、
さらに勉強になりそうです。

====(ここまで)

現役の首相では
世界で初めて産休を取得した同氏。

Yさんが心に残ったという
“Just like me”の部分。

「心配性でも、母親であってもなくても、
泣き虫でも、私のように
国を率いることができる」

「~でも」と繰り返す「リフレイン技法」を
取り入れ注意をひき、
最後を「私のように」と締めることで
リーダーシップを伝える
素晴らしいフレーズですね。

ちなみに、こんな本も出版されています。

『ニュージーランド アーダーン首相
世界を動かす共感力』
マデリン・チャップマン (著)
集英社

https://bit.ly/3N8d5qn

日々のニュースを
聞き手を動かすスピーチとは?
という視点で見るのも
スピーチスキルの向上に役立ちます。

あなたも
参考になったスピーチを見つけたら
ぜひ教えてくださいね。

★「人を動かす」「思いを伝える」
話し方のスキルを動画で学べます
『「人を動かす話し方
 教材専門オンラインSHOP』
https://bit.ly/40DHMXp

 

2023年4月26日