プレゼン版「トヨタ方式」?!トヨタ次期社長・佐藤氏と豊田章男氏のうまさの共通点

1月26日、
経済界に大きなニュースが
飛び込んできました。

トヨタ自動車の豊田章男社長が退任し、
4月1日付で佐藤恒治氏が
社長に就任するというもの。

これを受けて2月13日、
同社の公式YouTubeで配信された
「2023年4月1日付 新体制発表会見」
では、新社長となる佐藤氏が登壇。

4月からの経営方針などについて
プレゼンテーションを行いました。


出典:https://mainichi.jp/graphs/

動画はこちら↓
https://bit.ly/3IwW6eG

13年あまりにわたって
トヨタを率いてきた豊田氏は、
ご存じのようにスピーチの名手。

拙著『最強リーダーの「話す力」』でも、
https://bit.ly/3EwEJYe
豊田氏の動画を良いスピーチ教材として
紹介しています。

過去にこのメールでも
何度か分析いたしました。
※過去の分析はこちら↓

・「豊田章男氏が新年メッセージで使った
 社員をやる気にさせる
 上級者らしい裏技とは?」
http://authenty.co.jp/blog/archives/3875

・スピーチを成功に導く「YOUの視点」
http://authenty.co.jp/blog/archives/3400

・トヨタが机の配置を変えた理由
http://authenty.co.jp/blog/archives/3386

・2020年おすすめの年頭挨拶は、
 やはり日本を代表するこの経営者!
http://authenty.co.jp/blog/archives/3361

というわけで、
私も今回の佐藤氏の登壇を
「プレゼンテーション」という観点から
大いに注目しておりました。

佐藤氏が掲げた新体制のテーマは
「継承と進化」。

内容もさることながら、
そのプレゼンテーションスキルにも、
豊田氏の「型」が「継承」されていました。

さらに、
「進化」ともいえる
豊田氏にはなかった佐藤氏独自の
プレゼンテーションスキルも!

今回は、
プレゼン版「トヨタ方式」ともいえる
豊田氏と佐藤氏のプレゼンの
うまさについて分析します。

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信頼性を高めるジェスチャーとは?
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今回の会見で
まず注目したいのは、ジェスチャーです。

『最強リーダーの「話す力」』でも
ご紹介したように、
豊田氏は両手をシンメトリー(左右対称)に
広げるジェスチャーを入れるのが特徴です。


出典:https://toyotatimes.jp/spotlights/052.html

信頼性の高いジェスチャーの基本は
シンメトリーです。
規則性に聞き手は信頼感を抱くのです。

佐藤氏の今回のプレゼンにも、
この両手を広げるジェスチャーが
「継承」されていました。


出典:https://www.youtube.com/watch?v=pIkLG5NfhL4&t=6s

https://bit.ly/3IwW6eG
こちらの会見動画の、

6分25秒
「お客様の笑顔のために必死に努力をする」

7分27秒
「世界中のお客様に寄り添い、
多様な選択肢をお届けしたい」

8分06秒
「BEV(電気自動車)の開発を
加速してまいります」

9分04秒
「安全運転をサポートしたり」
などなど、
あげるときりがないくらい
何回もシンメトリーのジェスチャーを
取り入れています。

ちなみに、佐藤氏や豊田氏が行っているのは
シンメトリーであり、
かつ、「アウトオブボックス」タイプの
ジェスチャーです。

グローバル企業であるトヨタには、
動きが大きい「アウトオブボックス」が
ふさわしいのですが、
抵抗がある方も多いでしょう。

日本人リーダーには
「インボックス」タイプがおすすめです。

縦は肩から胸の前までの上半身、
横は肩幅、
奥行きは両手を伸ばした程度の
立方体状の箱を想像してください。

箱より外に手が出ている
アウトオブボックスに対し、
インボックスとは、箱の範囲内で
ジェスチャーを行います。


出典:『最強リーダーの「話す力」』177ページ

また、ジェスチャーは
一度出したら最低でも
3秒間止めるのが基本。

そして、1つのジェスチャーをしたら
手を下ろすのではなく、
そのまま次のジェスチャーへつなげます。

この「2つセットで3秒間止める」
というのも、ぜひ実践していただきたい
スキルです。

詳しくは拙著『NHK式+心理学
一分で一生の信頼を勝ち取る法』
https://bit.ly/2WRLl1n
119ページをご覧ください。

豊田氏は、
話に合わせて両手をさっと広げ、
そのまま3秒以上動かさない。
このメリハリが絶妙です。

動いていたものが止まっているという状態は
信頼感を与えます。

一方、佐藤氏の今回のプレゼンでは、
動きを止める時間が3秒よりも
短かったのは否めません。
そこは豊田氏に届かず、
やや残念な点でした。

しかし、「継承と進化」の
「進化」というにふさわしい
佐藤氏ならではの良さもありました。

それは口調。
動画をご覧になって、
豊田氏に比べて佐藤氏は
自然な語り口だと感じませんか?
その秘密は何でしょう?

今回は長くなりましたので、
その種明かしは、
次回お伝えします。

何が理由なのか、
あなたもぜひ考えてみてくださいね。

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あとがき
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今回のプレゼンテーションに
先立って配信された1月26日の
社長交代発表会見は、
SNS上で好印象でした。

なかには、「かわいい」という声も!
その理由は、
記者会見での思わぬハプニングでした。

https://bit.ly/3Z0DRU5
動画の1時間45分~。

佐藤新社長が就任への決意を語り、
会見は終了。
しかし、その後も
マイクのスイッチが入っていたようで
引き続き音声が流れてしまったのです。

豊田氏「最後、笑顔が欲しかったね~」
佐藤氏「緊張した~」
内山田会長「決意って言ったからね」

このやりとりに対して、SNSでは、
「終わり方、人間味あって良かったね~」
「茶目っ気いいね」「むしろ好感度アップ」
「仲良いの素敵wwwwww」
「終わり方最高だねwwww」
といった反応が上がっています。

緊張から解放されて、
大企業のリーダーが思わず漏らした本音。
「わかるなぁ」と
思わず共感してしまいます。

これは、
拙著『最強リーダーの「話す力」』
230ページでご紹介した
「弱みを見せる」の一種です。
一見失敗ともとれるピンチを
チャンスに変えた好例とも言えますね。

今後も「トヨタ方式」にも注目です!


★プレゼン版「トヨタ方式」とあわせ
信頼される話し方の基本、
「NHK式」を身につけましょう!

https://bit.ly/3IqR7Ld


2023年2月23日